75歳から誰でも加入する後期高齢者医療制度の保険料はどの程度支払う事になるのでしょうか。主な都道府県の保険料率での2人世帯の場合と妻が一人になった場合の保険料を計算してみましたので説明します。
後期高齢者医療保険制度とは
後期高齢者医療制度は、75歳以上の方が加入する医療制度で、個人単位で入り、個人単位に保険料を計算して支払います。
75歳前には、会社の健康保険組合・協会けんぽ・共済組合・国民健康保険等に入っていますが、75歳からは全員が後期高齢者医療制度に加入する事になります。
保険者(保険給付や保険料を徴収する実施団体)は、後期高齢者医療広域連合といい、各都道府県に1団体、計47団体があり、各市町村がこの広域連合に加入しています。
後期高齢者医療保険制度に被保険者(私たち加入者)が医療機関の窓口で支払う自己負担は、原則1割ですが、現役並みの収入のある人は3割負担になります。
現役並みの収入とは、1人の場合は年収383万円以上、2人世帯の場合は520万円以上です。
主な都道府県の保険料
後期高齢者医療制度の保険率は、前年度所得に応じた所得割額と定額の均等割額から成り、広域連合毎に異なります。また、保険料は一人一人に課せられます。
次の表は、主な都道府県の保険料率の比較です。結構ばらついています。
夫婦2人での試算
上記の表の保険料率を基に夫婦2人世帯の保険料の試算をしてみます。
仮定する世帯
仮定する夫婦2人世帯は次のとおりです。
- 夫・妻の2人世帯で、共に75歳以上
- 収入は年金のみで、夫230万円、妻90万円
所得の計算
所得割額の基になる所得を計算すると次の表のとおりです。この結果、所得割額の基になる所得は、夫770,000円、妻0円です。
計算の流れは次のとおりです。
- 収入は①年金だけです。
- 年金は雑収入になりますが、公的年金等控除があり、下記の「公的年金等に係る雑所得の速算表(国税庁)」から②110万円が控除された金額が所得③合計になります。この結果、妻はマイナスになりますので、所得0円です。
- 所得③合計から、誰でも使える所得控除④基礎控除430,000円を差し引き、所得割額の基になる所得⑤合計がでます。
なお、下記は国税庁サイトに掲載されている公的年金等に係る雑所得の速算表です。表をクリックすると国税庁サイトへジャンプします。関連情報も掲載されていますので、ご興味があればご覧ください。
主な都道府県での試算結果
次の表が、主な都道府県での仮定した夫婦2人世帯の保険料(世帯の計、年額)です。
比較的金額の多いところでは、北海道や福岡県の地方があります。大阪も多いです。一方、神奈川県や東京都は比較的金額が少ないです。金額の高低をみると約2万円強の差があり、年額とはいえ意外に大きな差です。
自治体毎の保険料の高低については、同じような計算方式の国民健康保険も同じ傾向があります。
もしも奥さん一人になった場合
一般的に平均寿命では夫の方が短いですので、もしも夫が亡くなって奥さん(妻)が一人になった場合、保険料はどうなるのでしょうか。
夫の年金構成が「老齢厚生年金160万円+老齢基礎年金70万円(=230万円)」、妻の年金構成が「老齢厚生年金10万円+老齢基礎年金80万円(=90万円)」とすると、妻に支給される遺族厚生年金は「老齢厚生年金160万円×3/4=120万円」となります。
妻の老齢厚生年金よりも夫からの遺族厚生年金の方が大きいですので、こちらを選択することになりますが、その結果、妻が受給できる年金は、「遺族厚生年金120万円+妻の老齢基礎年金80万円=200万円」となります。
ただし、遺族厚生年金は収入に含めませんので、後期高齢者医療制度の保険料は、上の表「仮定する2人世帯の保険料」の妻の保険料だけです。
さいごに
75歳以降の後期高齢者医療制度の保険料を、主な都道府県で比較してみました。住むところにより、意外と差がありますので、年を取ってからの地方移住等はこれらの事も考えておく必要があります。
また、奥さんが一人になった場合は、世帯で負担する保険料が大きく下がりますが、実質的な収入についても、夫の老齢基礎年金額と妻の老齢基礎年金額が無くなり、年収が200万円となります。この金額だけで生活するのは、大変だと思いますので、この対策も考えておく必要があります。
その時が来るまでまだ時間がありますので、十分に検討して備えておきたいと思います。
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