所得税の具体的な計算方法(株式配当を総合課税に)

定年少し前や再雇用などの期間では給与が少なくなっていると思いますが、そのような場合、株式の配当について所得税は総合課税で、住民税は配当時の源泉徴収のままにした方が、税金が軽減されます。そろそろ確定申告の時期が近づいてきましたので、頭の整理のため、株式配当を含めて総合課税での所得税の計算方法をまとめてみました。

所得税と住民税

サラリーマンの税金としては、所得税と住民税があり、確定申告の時に主に計算しているのは所得税です。住民税は、特に申告しなければ所得税を基に計算されます。ここでは、所得税の計算方法について、具体的事例で説明しています。

以下、ある前提の下で、株式配当を総合課税にした場合の所得税の具体的な計算を見ていきます。

計算の前提

所得税を計算する上での前提の仮定は次のとおりです。

  • 神奈川県A市在住
  • 夫(65歳未満)の収入
    • 給与:4,000,000円
    • 企業年金:600,000円(5万円/月×12ヶ月)
    • 株式配当:150,000円
  • 扶養者は妻(専業主婦)のみ、子供は独立
  • 社会保険料:640,000円/年
  • 医療費:150,000円/年
  • 生命保険料:120,000円/年※平成24年1月1日以後に締結
  • 地震保険料:8,000円
  • ふるさと納税:20,000円 

所得税の計算

所得

給与所得は「令和元年分の年末調整等のための給与所得控除後の給与等の金額の表」から数値をもってきました(詳細は下記サイトをご覧ください)。配当所得は総合課税ですので、株式配当で受け取った金額をそのまま持ってきます。また企業年金は65歳未満のため公的年金等控除70万円以下のため0となります。

所得2,810,000円=給与所得2,660,000円+配当所得150,000円

所得控除

①医療費控除

医療費から差し引きする数値は、「所得金額×0.05=140,500円」より100,000円の方が低いので下記のとおり、100,000円を引く計算式になります。

医療費控除50,000円=医療費150,000円-100,000円

②社会保険料控除

社会保険料控除640,000円
※全額控除です。

③生命保険料控除

生命保険料控除40,000円 
※平成24年1月1日以後の契約なので上限の40,000円。詳細は下記サイトをご覧ください。

④地震保険料控除

地震保険料控除48,000円 
※支払保険料が50,000円以下のため全額控除です。詳細は下記サイトをご覧ください。

⑤寄附金控除

次のとおりです。
寄附金控除18,000円=寄附金20,000円-2,000円

⑥配偶者控除

配偶者控除380,000円

⑦基礎控除

基礎控除380,000円

所得控除

故に所得控除額は次のとおりです。

所得控除1,556,000円=①+②+③+④+⑤+⑥+⑦

総所得

総所得1,254,000円=所得2,810,000円-所得控除1,556,000円
※いわゆる課税標準です。

税額

配当控除前税額

配当控除前税額62,700円=総所得1,254,000円×5%
※所得税額速算表による。詳細は下記サイトをご覧ください。

配当控除

今回は総合課税ですので、株式配当控除を使います。

配当控除15,000円=配当150,000円×10%

差引所得税額

差引所得税額47,700円=配当控除前税額62,700円-配当控除15,000円

復興特別所得税

復興特別所得税1,001円=差引所得税額47,700円×2.1%

所得税額

故に最終的な税額は次のとおりです。

所得税額48,701円=差引所得税額47,700円+復興特別所得税1,001円

まとめ

今回は、所得税について、株式配当受取額を総合課税にいれ、配当控除を加えて計算しました。私を含めてサラリーマンの方が、年末調整を行いますが、その際には、配当控除をはじめ、医療費控除、ふるさと納税の寄附金控除、企業年金の公的年金等控除を入れることはできませんので、控除するためには確定申告が必要です。

総合課税か分離課税かなどは、年末調整でわかる給与の源泉税額、配当受取時に引き取られる源泉の所得税・住民税、確定申告での還付額等をみればもっとよくわかります。これについては、別の記事にまとめたいと思います。

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