管理費用の安いNISA銘柄の比較、2大ネット証券では

資産形成のためには、非課税のNISAやiDeCoの制度を活用し、管理費用の安い中長期の積立投資信託が有効です。iDeCoの方が非課税のメリットは大きいですが、引き出し可能になるのは60歳以降なので、まずは手軽に開始できるNISAについて、SBI証券と楽天証券の管理費用の安い主な銘柄で比較してみます。

NISAと令和2年度改正

NISAとは、少額投資非課税制度のことで、個人が上場株式や投資信託の売却益や配当を得た場合に、元金が一定の年間上限額以内であれば非課税になる制度です。種類は、一般NISA(つみたてNISA等と区別するために一般NISAと称します)、つみたてNISA、ジュニアNISAがあります。

NISAは令和2年度改正があり、次のようになりました。

  • 一般NISAは、現行で年間120万円・期間5年間ですが、2024年から2028年まで1階部分20万円(つみたてNISAと同じ積立投資信託から選択、投資経験者等は不要の例外あり)と2階部分102万円を合わせて年間122万円・期間5年間となりました。
  • つみたてNISAは、現行制度の年間40万円・期間20年間のままで5年間延長し、2042年までとなりました。このため、2042年購入した投資信託については20年間(2062年まで)非課税で保有可能です。
  • また、ジュニアNISAは、2023年末で廃止することになりました。

積立投資信託を行う場合は、なるべく長期間実施したほうが比較的安全に資産を増やせる傾向にあります。このため、20年間非課税で投資できるつみたてNISAの主な銘柄について見ていきたいと思います。

金融庁のつみたてNISAの考え方

つみたてNISAは、長期・分散・積立投資により個人の資産形成を目的にしており、金融庁から方針及び投資対象商品が決められています。

金融庁の方針

金融庁のつみたてNISAの主な方針は次のとおりです。

  • 長期・積立・分散投資に適した公募株式投資信託とETF(上場株式投資信託)であること。
  • 公募株式投資信託の場合は、ノーロード(販売手数料が無料)信託報酬が一定基準以下(例えば日本株式インデックス投信は0.5%以下)、信託契約期間が無期限又は20年以上であること、分配頻度が毎月でないこと等。

これを見ると、つみたてNISAは株式の投資信託が中心という事で、金(ゴールド)や債券がありません

つみたてNISA対象商品

上記方針に基づいて金融庁では、つみたてNISAの対象商品を指定しています。下記のボタンをクリックすると金融庁の該当ページに行きますので、ご興味があればご覧ください。

これを見ると、現状の投資対象商品は、やはり債券や金を主体にした商品はありません。債券がバランス型の投資信託に含まれているぐらいで、金は全くありません

リスクの少ない(変動が小さい)債券や最近好調の金が無いのは不思議な気もしますが、金融庁は、長期投資を考える場合は債券や金よりも株式が最も投資効率が良いと考えているからです。

特に金については、株式のように配当金がありませんので、値上がり益しか期待できないので外していると思いますが、資産の分散としては効果があると思いますので、そのうちに変わるかもしれません。

ネット証券のつみたてNISA対象商品

主なつみたてNISAの対象商品についてネット証券の対応状況をみてみます。

SBI証券と楽天証券の主な商品

次の表は、金融庁指定インデックス投資信託167本(2020年12月23日付)の中から、主な区分における比較的信託報酬率が低いものをピックアップし、SBI証券と楽天証券での対応状況を示したものです。

つみたてNISA銘柄の比較(一部)
【つみたてNISA銘柄の比較(一部)】

運用(運用期間)は略称で記載しており、各々、三菱:三菱UFJ国際投信、SBI:SBIアセットマネジメント、楽天:楽天投信投資顧問です。

以下、簡単に説明します。

日本株式

国内株式を対象にした投資信託でTOPIX(東証株価指数)に連動して運用成果を出すように設計されています。TOPIXは、東証第一部上場株の時価総額から算出される指数で。なお、TOPIXの他に日経225に連動する投資信託もあります。

世界株式

日本を含むほぼ全世界の株式に連動する投資信託です。「SBI・全世界株式インデックス・ファンド」「楽天・全世界株式インデックス・ファンド」「FTSE Global All Cap Index」の指数に連動していますので、一般的には信託報酬率の低い「SBI・全世界株式インデックス・ファンド」を選ぶ方が有利になります。

「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」は、「MSCI ACWI Index」の指数に連動しています。

「FTSE Global All Cap Index」「MSCI ACWI Index」は、各国への投資比率が少し異なりますが、長期的に差異を予想するのは困難ですので、信託報酬率の低い投資信託を選ぶのが良いと思います。

米国株式

世界の株式は、米国株式の動きに強い順相関があります。しかも、世界的に株式が下落しても最初に復活するのは米国株式からという事が多いので、米国株式の投資信託をあげました。

「SBI・バンガード・S&P500インデックス・ファンド」が最も信託報酬率が低いですが、楽天証券では扱っていません。

しかし、代わりに「eMAXIS Slim米国株式(S&P500)」があり、比較すると信託報酬率が若干高いですが、この程度ではあまり影響は無いと思います。

三菱UFJ国際投信が扱っている「eMAXIS Slimシリーズ」は、その分野での最低もしくは同等の信託報酬率にする事をアピールしていますので、その内に同等にするかもしれません。

どちらにしても、インデックス型の投資信託では、最も信託報酬率の低い商品を選ぶ事が鉄則だと思います。

バランス型

ここでは、「eMAXIS バランス(8資産均等型)」を選んでいます。8資産とは、国内債券、国内株式、先進国債券、先進国株式、新興国債券、新興国株式、国内REIT、グローバルREITを12.25%づつ均等に構成している商品です。

資産分散をしているので良い商品ですが、個人的には先進国株式をもう少し増やしても良いと考えていますので、例えば米国株式の投資信託を別に購入するという方法もあると思います。

債券や金はNISAで購入

つみたてNISAのように20年間運用するのではあれば、これまでの商品で十分かもしれませんが、例えば定年後に始めるのは長すぎる気がしますので、一般NISAで5年間運用(ロールオーバーを活用すればもっと長く運用も可能)を行うのも良いと思います。

一般NISAは、つみたてNISAでは購入できなかった債券や金の投資信託を購入する事ができます

次の表は、債券と金の投資信託の一例です。

つみたてNISAにないNISA銘柄(一部)
【つみたてNISAにないNISA銘柄(一部)】

運用の欄は、三菱:三菱UFJ国際投信、三住:三井住友トラスト・アセットマネジメントです。以下、簡単に説明します。

世界債券

「eMAXIS Slim 先進国債券」は、先進国の国債・公社債等の債券です。債券の良いところは安定性にありますので、新興国が無くとも良いと考えています。

また、日本債券の投資信託もありますが、いままで述べた投資信託の商品を購入していても、別に預貯金や定期預金等があると思います。これらの一部は日本債券で運用されていますので、あえて購入しなくとも良いかと考えています。

「SMTゴールドインデックスオープン」は金の投資信託としては、信託報酬率が最も低い商品です。

金への投資は、この他に金現物の直接購入・積立やETF等がありますが、金現物の直接購入・積立は手数料が高く換金が面倒です。

金ETFは比較的信託報酬率が低いものがありますが(0.25%とか)、株式と同じく購入・売却時に手数料が必要ですので、積立には不利です。

今回紹介した「SMTゴールドインデックスオープン」は、信託報酬率0.275%で金ETF並みですし、ノーロード(売買手数料無料)で積立可能です。

つみたてNISAの注意点

つみたてNISAの注意点を一般NISAとの比較を交えて説明します。

  • 一般NISAとつみたてNISAを併用することはできません。変更する場合は1年単位で変更することが可能です。
  • NISA口座(一般NISAとつみたてNISA)の開設可能な金融機関は一つだけです。金融機関を変更する場合は、1年単位で行わなければなりません。
  • つみたてNISAはロールオーバー(非課税期間満了時に今まで積立てた証書にをそのまま次年度以降に繰越しすること)できません。一般NISAはロールオーバー可能です。
  • 新規投資額は年間40万円までで、積立期間は20年間です。このため、定年前後の方は、購入を躊躇してしまいます。半面、若者向けの制度ということもできます。
  • 金融庁が指定した商品しか購入できず、債券(バランス型で購入するしかない)や金を主体とした投資ができません。ただし、一概に不利とは言えませんが。

今回紹介した商品の検討等については、次のサイトにも記載していますので、ご覧ください。

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積立投資信託の商品とネット証券の決定

また、各証券会社の詳細については、下記サイトをご覧ください。

→SBI証券公式サイトを見る

→楽天証券公式サイトを見る

さいごに

SBI証券と楽天証券で、NISA、特につみたてNISAの投資効率の良さそうな商品を紹介しました。

私のようなロートルにはつみたてNISAは20年間と長期にわたり投資しなければなりませんので、実行には躊躇してしまいます。しかし、比較的若い方は、最大40万円×20年間=800万円が非課税扱いになりますので、活用しない手は無いと思います。

私はと言えば、NISA口座の金融機関を変更したので、またこれから開始する事になりますが、今回紹介した商品の中から一般NISAで運用を始めたいと思います。

ある程度年齢を重ねても、リスクは押さえるとして、株式投資信託は続けるべきだと考えています。

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