住民税の具体的な計算方法(ひも解くのに結構難航しました)

確定申告は、所得税を対象としており、その所得税の結果で住民税を算出しているのが一般的です。でも、都道府県民税と市町村民税はどの程度徴収されているのかや、ふるさと納税などがどのように反映されているのかわかりません。今年も確定申告の時期になりましたので、この機会に住民税の具体的な計算方法について調べてみました。

発端

サラリーマンの税金としては、所得税と住民税がありますが、主に確定申告の時には計算しているのは所得税です。住民税は、特に申告しなければ所得税を基に計算されます。しかし、ふるさと納税などは、主に住民税に反映されますので、その仕組みはどうなっているのか興味があるところです。このため、住民税のケーススタディで実施してみました。

住民税とは

住民税とは、都道府県民税(以下、県民税といいます)と市町村民税(以下、市民税といいます)を合わせていう税金です。個人は市区町村が一括して賦課徴収することから、この2つを合わせて住民税といいます。
また、各々、所得に応じた所得割と世帯に同一の均等割があります。

年末調整や確定申告では、主に所得税に係る算出を行いますが、この所得税をベースに住民税が決定されます。

さらに、住民税が課税されるのは翌年のため、取得税と比べて1年遅れとなっています。このため、退職した翌年でも現役並みに住民税が課税されますので、注意しなければなりません。

計算の前提

さて計算する上で前提の家庭は次のとおりです。

  • 神奈川県A市在住
  • 夫(65歳未満)の収入
    • 給与:4,000,000円
    • 企業年金:600,000円(5万円/月×12ヶ月)
    • 株式配当:150,000円
  • 扶養者は妻(専業主婦)のみ、子供は独立
  • 社会保険料: 640,000円/年
  • 医療費:150,000円/年
  • 生命保険料:120,000円/年※平成24年1月1日以後に締結
  • 地震保険料:48,000円
  • ふるさと納税 :20,000円 

住民税の計算

所得

給与所得は「令和元年分の年末調整等のための給与所得控除後の給与等の金額の表」から算出します(詳細は下記サイトをご覧ください)。

給与所得2,660,000円 ※給与4,000,000円から。

所得控除

住民税の所得控除額は、所得税の所得控除額と異なるところもあります。

①医療費控除

「所得金額×0.05=140,500円」より100,000円の方が低いので下記のとおり、医療費から100,000円を引く計算式になる。

医療費控除50,000円=医療費150,000円-100,000円

②社会保険料控除

社会保険料控除640,000円
※全額控除できます。

③生命保険料控除

生命保険料控除28,000円 
※平成24年1月1日以後の契約なので上限の28,000円。詳細は下記サイトをご覧ください。

④地震保険料控除

地震保険料控除24,000円=支払い保険料48,000円×1/2 
※支払保険料が50,000円以下のため支払い保険料の1/2。詳細は下記サイトをご覧ください。

⑤寄附金控除

寄附金がある場合は、下記の寄附金税額控除の中に含めていますのでここはありません。

⑥配偶者控除

配偶者控除330,000円

⑦基礎控除

基礎控除330,000円

所得控除

故に所得控除額は次のとおりです。

所得控除1,402,000円=①+②+③+④+⑤+⑥+⑦

総所得

総所得1,258,000円=所得2,660,000円-所得控除1,402,000円
※いわゆる課税標準です。

税額

住民税は、市民税と県民税があり、さらに所得に応じた所得割と各世帯定額の均等割が各々あります。

また、神奈川県独自の制度として、県民税について、所得割の税率0.025%、均等割の300円がプラスされます。

税額控除前所得割額

税額控除前の市民税、県民税の所得割額は次のとおりです。

(A)市民税75,480円=総所得1,258,000円×6%

(B)県民税50,634円=総所得1,258,000円×4.025% ※0.025%が神奈川県独自分

税額控除

税額控除は各々次の通りです。

(a)市民税の調整控除1,500円=50,000円×3%

(b)市民税の寄附金控除9,697円=寄附金対象額×6%+寄附金対象額×79.79%×3/5
※寄附金対象額18,000円=寄附金20,000円-2,000円

(c)県民税の調整控除1,000円=50,000円×2%

(d)県民税の寄附金控除6,465円=寄附金対象額×4%+寄附金対象額×79.79%×2/5
※寄附金対象額18,000円=寄附金20,000円-2,000円

所得割額

所得割額は次のとおりです。

(C)市民税の所得割額64,283円=(A)75,480円-{(a)1,500円+(b)9,697円}

(D)県民税の所得割額64,283円=(B)50,634円-{(c)1,000円+(d)6,465円}

均等割額

均等割額は、世帯ごとに定額で次のとおりです。

(E)市民税の均等割額=3,500円 ※定額。

(F)県民税の均等割額=1,800円 ※定額、ただし内300円は神奈川県独自です。

特別徴収税額

上記の結果、特別徴収税額(会社の給与経由で支払う方式の税金)は次のとおりです。

特別徴収税額112,700円=(C)64,283円+(D)64,283円+(E)3,500円+(F)1,800円

まとめ

今回は、住民税について計算しました。初めて計算してみましたが、思いのほか複雑だなぁ~というのが感想です。e-TAXを国民にもっと使ってもらい税金の理解を得るとかいう話と矛盾しています。なんでこんなに複雑にしてしまうのかと不思議です。来年度からまた少し税法が変わりますので、税理士の方も大変です。
なお、端数については、少し手を抜いていますので、合わないところもあると思います。その場合はご容赦ください。

また、株式配当については、所得税は総合課税で配当控除を使い、住民税は配当受取時の源泉徴収のままで行う事で税金が軽減できる可能性があります。ただ、それがどの程度メリットがあるのかは、年末調整でわかる給与の源泉税額、配当受取時に引き取られる源泉の所得税・住民税、確定申告での還付額等を見て頭を整理しないと、よくわかりません。これについては、別の記事にまとめたいと思います。

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