総務省家計調査では収入が主な年金である高齢者夫婦二人世帯で40万円/年程度不足するという報告がなされています。退職金等から1,000万円捻出できれば、株式投資や不動産投資で不足分を補填する事ができますので、その方法・可能性を説明します。
夫婦二人世帯の年金等収入と生活費
総務省の2019年(令和元年)家計調査報告<家計収支編>では、平均の家計調査結果が報告されています。この報告書では、高齢夫婦無職世帯(夫65歳以上、妻60歳以上)の実収入237,659円/月、消費支出239,947円/月、非消費支出(税金・社会保険料等)30,982円/月、可処分所得206,678円/月となっています。
実収入に対して不足金額は33,269円/月ですので、年間約40万円(≒399,228円/年)が不足しますので、預貯金等を取り崩して生活費に充てなければなりません。
主な収入が年金だけとなると、年間40万円を作る事が大変そうに見えますが、1,000万円あれば株式投資や不動産投資で定期収入を得る事ができます。1,000万円は大きな金額ですが、退職金などを期待すると可能な額だと思います。
しかし、投資には何事もリスクが伴いますので、これを避けて少し仕事をして収入を増やし、保有しているお金は安全に取り崩して行きたいという方も多いと思います。このため、以下では、株式投資・不動産投資と安全に取り崩す方法について説明したいと思います。
株式投資で高配当を得る
株式投資で利益を得るには、キャピタルゲイン(株価の値上がり益)を期待する方法とインカムゲイン(配当等)を期待する方法があります。キャピタルゲインは良い時は利益大ですが、大きなリスクを伴うので比較的安定性のあるインカムゲインを得る事を考えたいと思います。
また、外国株式の中でも米国株式は、日本株に比べて順調に上昇しており、ある程度保有しておくべきと個人的には考えていますが、為替変動のリスクがありますので、今回は日本株式だけを考えたいと思います。
国内株式での高配当銘柄
次の表は、東証一部上場企業・PER(株価収益率)20倍以下・PBR(株価純資産倍率)2倍以下・配当利回り(予想)3%以上でスクリーニングし、配当利回り順にした結果です。スクリーニングのツールは「楽天スーパースクリーナー」を利用しましたが反映時間ずれの関係があり、一部再計算・修正しています。
銘柄をみると日本を代表する企業が並んでいますが(東証一部上場企業でスクリーニングしているで当たり前ですが)、配当利回りは高いですね。
しかも、日本たばこ産業、オリックス、日本電信電話、積水ハウス、KDDI、大和ハウス工業は、株主優待制度がありますので、さらにお得感があります。
高配当銘柄に投資した場合の配当額
次の表は、購入資金1,000万円以内で上記各銘柄が50万円前後になるように購入したとすると、配当金額がどうなるのかを示したものです。
結果、購入金額9,970,960円(購入手数料は入っていません)で配当435,300円、配当利回り4.37%でした。株式・配当金は業績に左右されますので、絶対ではありませんが、現時点では楽々40万円をクリアです。
投資を行う場合は分散投資が重要です。ただし、このままでは、銘柄数が多すぎて管理が面倒ですので、次に私なら何を購入するかで考えたいと思います(既に購入済もあります)。
購入してみたい銘柄の候補
上記銘柄から、分野を重複しないでかつ同じ関連会社では無いところを、5点(正確には5点でありませんが)上げてみると次のような感じです。
- 日本たばこ産業:配当が高い反面、企業のESG投資優先やたばこ離れが進んでいますので常に値下がりリスクがあります。しかし「たばこ」本社機能をスイスのグループ会社「JTインターナショナル」へ移すなど構造改革中です。また、筆頭株主が財務大臣(約33%保有)、かつ「たばこ税」を国庫に納めますので、下値が限られていると思います。ただし、民営化の流れで国保有株の放出には気を付けなければなりません。
- 日本郵政:楽天との資本・業務提携があり一時急騰しましたが、3月末の権利確定後は調整局面に入っています。物流で考えると日本郵便が傘下にありますので強力です。こちらも筆頭株主は財務大臣(約63%保有)ですので、下値が限られていると思いますが、同じく民営化の流れで国保有株の放出には気を付けなければなりません。
- 三井住友FG(又は三菱UFJ FG):銀行株がここまで低位にあるのは見逃せません。ネットバンクの台頭が著しいですが、まだまだ店頭を活かすメリットは大きいと思います。
- オリックス:株主を大切にしてくれる会社のようで、一番のお気に入りです。これから利上げの逆風がありますが、財務が優れた会社ですので、まだまだ期待していきたいと思います。
- 日本電信電話(又はKDDI):スマホに何でも乗っかる世の中ですので、これもキャリア関係は保有しておきたい株です。株主優待でみるとKDDIの方が良いですが、日本電信電話は日本の通信の雄ですので、安心感があります。どちらでも良いかなと思います。
証券関係では、No2に野村HLDGがありますが、こちらを入れなかったのはネット証券会社の台頭が著しいからです。ネット証券会社の株式を購入するのであれば、例えばSBI HLDGが良いかなと思います。利回り3.35%で株主優待制度もあります。
また、株式と同じように市場で売買できるREIT(不動産投資信託)も、利回りが3%~5%程度ですので少し組み入れると良いと思います。例えばヘルスケア施設関係のヘルスケア&メディカルで4.71%、ヘルスケア施設と住居混在型のケネディクス・レジデンシャル・ネクストで3.9%です。
金(ゴールド)もある程度は投資信託やETFで保有しておきたいところですが、配当・分配金が無いのが玉にきずです。財産の5~10%程度は金を保有しておいた方が良いとよくいわれますので、余裕があれば購入かと思います。
いろいろと考えると面白いですので、ご自身に合ったポートフォリオを考えられてはいかがでしょうか。
下記は、私が利用させていただいている証券会社の公式サイトです。ご興味があればご覧ください。
不動産投資で家賃収入を得る
よく財産3分法といわれ、安全のために資産を「現金」「不動産」「株」に分ける方法ですね。
「株」については比較的少額から始める事ができますが、「不動産」となるとまずは自宅からを優先しますので、なかなか手がでません。
しかし、1,000万円あれば実物の不動産にも投資ができます。そしてその不動産が生み出す家賃収入で実利益40万円/年以上が期待できます。
私も不動産投資としては、REIT(不動産投信信託)ぐらいでしたが、最近現物の不動産に興味を持ち始めました。まだチャンスを待っている状態ですが、こんな考えもあるよという事でお話として読んでいただければと思います。
方針
まず大方針としては次のとおりです。
- 無借金:定年後のため借金はしません。若ければ借金をし、その金利分を費用計上して節税しますが、そのようなリスクはを負いません。このため減価償却ぐらいの小さな節税しか期待しません。
- チャンスを待つ:地域を決めて日頃より情報収集しておき、自分の条件に合う物件をひたすら待ちます。結局は購入できなかったという事もあり得ます。無理をする必要はありませんので。
物件の条件
チャンスを待ち続ける物件の条件は次のとおりです。1,000万円の物件になると夢のような物件はありませんので、現実的に考えなければなりません。もちろん事故物件は論外です。
- 購入価格1,000万円以内:手数料やリフォーム工事等で若干増える可能性がありますが、それでも10%以内です。
- 有名路線かつ新興の沿線駅から徒歩10分以内:やはり利便性が良いところが第1優先です。都心は無理なので沿線で駅まで徒歩圏となります。
- 区分マンションの1R~1LDK:1,000万円となると1LDKも厳しいと思いますので、1K以下ぐらいかもしれません。
- SRC、RCで築30年前後:SRC造(鉄骨鉄筋コンクリート造)とRC造(鉄筋コンクリート造)の法定耐用年数は47年です。ただし中古マンションの場合は次の式で耐用年数を計算します。
例えば築30年のSRC造(又はRC造)の区分マンションの場合は次のとおりです。減価償却はこの法定耐用年数を基に計算されます。また、築30年の区分マンションを購入し、その後売却する場合は所有期間5年超の「長期譲渡所得」を考えると思いますので、その点で売却できそうな物件かの判断になります。- 耐用年数23年=(47年ー経過年数30年)+経過年数30年×0.2
- 付帯設備:トイレ・バス別で、バスは洗面所と共有していないタイプです。以前トイレ・バス・洗面所一体のユニットバスが多かったと思いますが、(特に女性は)別れていないと良い条件で賃貸ができないようです。
- 修繕計画:購入後数十万単位の補修工事が予定されていると大変ですので、修繕計画を確認しましょう。
信託銀行を活用して安全に取り崩す
それでも株式投資や不動産投資は、リスクがあるので老後には実施したくない、少し働くので預貯金を取り崩して生活費にあてる事を計画的に実行すればそれほど困らないという方も多いと思います。
そのような時に計画的にお金が引き出し(振り込んでもらい)、万一の場合はお金がスムーズに残された家族の元にわたるという商品や認知症気味になってもある程度のお金なら自分で自由に使えるという商品が信託銀行にあります。
例えば、三菱UFJ信託銀行の「相続型信託 ずっと安心」、「みらいのまもり」、「つかえて安心」等です。下記に記事で簡単に紹介していますので、よろしければご覧ください。
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さいごに
男性の場合、65歳で定年を迎えてもまだ約20年間残っています。意識としては短いかなぁ~ですが、生活費等お金のことを考えるとまだまだ長い期間が残っています。少しは投資でもしてお金の延命を図らなければなりませんが、大きな失敗はできません。
このため、投資を行うにしても慎重にターゲットを決めてチャンスを待ち、チャンスが訪れなかった場合は実行しないぐらいの気持ちで悠然と構えていたいものです。
大切なお金ですので、逃げられないようにうまく働いてもらいましょう。
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