積立てた投資信託を定期的に売却して自分年金として受取るサービスをいろいろな金融機関が実施しています。定期的に受取る方法として大きく、金額指定、定率指定、期間(定口)指定の3つがあります。これらのメリットと金額指定した場合の効果についてみてみたいと思います。
投資信託の定期売却サービスとは
投信信託の定期売却サービスとは、対象の投資信託の銘柄を指定し、定期的に指定した方法で売却・受取る事ができるサービスです。投資信託として運用しつつ定期的に取り崩していきますので、資産の延命も図る事ができます。
概要については、楽天証券とSBI証券の商品を次の記事でまとめていますのでご覧ください。
積立てた投資信託を定期的に売却して不足する老後生活資金を補うことができる投資信託の定期売却サービスがあります。いろいろな金融機関がこのサービスを実施していますが、ここでは2大ネット証券である楽天証券とSBI証券のサービスについて比較してみ[…]
受取る方法のメリットの比較
定期売却サービスでは、扱う金融機関により異なりますが、受取方法としては大きく、金額指定、定率指定、期間(定口)指定があります。これらについてメリット等を整理してみたいと思います。
金額指定
毎月一定額を売却して受け取ります。
毎月一定金額が受け取れますので、家計管理が簡単になります。ただし、評価額が悪い期間が続くと予想に反して受取期間が短くなる可能性があります。
定率指定
毎月指定した割合に相当する口数を売却して受取ります。
毎月一定割合ですので、もしも評価額の上昇率(物価上昇率以上になる可能性も)と受取る割合(=運用率)が同じ場合は原本が減らなくなります。ただし、1口の評価額が同じような場合は、最初の受取額が多く、だんだんに受取額が小さくなる可能性があります。
期間(定口)指定
指定した最終受取年月から売却回数を求め1回当りの売却口数を決めて、毎月その口数を売却して受取ります。
計画どおりの期間で確実に受取る事ができます。ただし、評価額は毎月変わりますので、受取る金額もそれに応じて変動します。また、計画どおりの期間なので、あまり面白みは感じられないかもしれません。
効果の検証
ここでは、分かり易さを優先して定額指定の場合の原資と年利における毎年の受取額を算出してみます。
原資は、積立し定期売却する投資信託額であり、年利は1%~6%として取崩し期間を20年間、25年間、30年間で算出しています。ただし、簡単のために1年複利で計算していますので、実際の受取金額と若干異なります。
取崩し期間:20年間
次の表は、原資を500万円~3000万円として年利が1%~6%で、取崩し期間を20年間にした場合の年間受取額を表しています。
20年間というのは、夫が65歳で定年になった場合に85歳まで受取る期間となります。65歳時点の男性平均余命は19.83年(厚生労働省令和元年の生命表)と約20年ですので平均余命までという事もできます。
表中のオレンジ色の範囲は、月当りの受取額5万円以上から10万円未満を表しており、黄色の範囲は、月当たりの受取額10万円以上を表しています(以下同じ)。
月当たりの受取額5万円以上の場合は、原資1000万円で運用年利2%からの投資信託商品で20年間受取が可能になります。
取崩し期間:25年間
次は取崩し期間25年間の場合です。 オレンジ色と黄色の範囲は上記と同じ、受取額5万円/月以上と受取額10万円/月以上を表しています。
取崩し期間:30年間
取崩し期間30年間の場合ですと、夫が65歳定年で95歳まで受取る事ができます。
奥さんが3歳年下とすると夫定年時奥さんは62歳ですので平均余命27.34年(厚生労働省令和元年の生命表)で、約90歳となります。取崩し期間30年間は、奥さんが92歳までカバーする事になります。
使用したExcel計算式
人により事情は様々ですので、今回使用したExcel計算式を紹介します。原資、年利、取崩し期間等を適当に変えてみてご自身に合うものを検討するのも面白いと思います。
計算式は次のとおりPMT関数を使いました。
- 毎年受取れる金額=PMT(利率、期間、現在価値、0)
- 利率:今回は年利を使いましたが、月当たりの金額を計算する場合は年利を12で割った値を使います。
- 期間:取崩し期間です。今回は年で計算しましたが、月当たりの金額を算出する場合は、12を掛けて月数を使います。
- 現在価値:原資です。
さいごに
投資信託定期売却サービスを利用した場合の取崩し期間と運用利率での受取額を試算してみました。今回は簡単のために金額指定としました。しかし、金額指定の場合は、インフレになると物価が上がりますので、実質受取額が目減りする事になります。また、人間いつまで生きていられるのかもわかりません。
できるだけ長く受け取りたい場合は、定率指定という事になります。つまり、年利3%で投資信託を運用しつつ、3%づつ取崩して行くのであれば実質目減りが無いことになります(例えば、上記表でいえば年利=定率指定となり、原資1000万円×年利の金額が増分かつ取崩す額になります)。
定率指定は、その時の運用状況に応じて受取り額が変動しますが、投資信託がほぼ物価変動率に連動すると仮定すると将来のインフレにも対応できますので、長生きリスク?にも対応できます。
どれだけ受取れるかは何といっても原資が重要ですので、早めに積立投資信託でも開始して心穏やかな老後を迎えたいものです。
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