米国ETFのリターンと分配利回りで老後生活費を補う方法

定年後の収入は、年金が中心になりますので生活費が不足しがちです。生活費を補填する方法として株式配当金やインデックス型投資信託・ETFの分配金を期待する方法がありますが、本稿では、米国ETFの主な銘柄についてリターンと分配利回りを調べてみました。

老後の投資でも有益な投資信託とETF

老後では、年金が一定の収入原となります。総務省の2019年(令和元年)家計調査報告<家計収支編>によると、高齢夫婦無職世帯(夫65歳以上、妻60歳以上)では実収入237,659円/月で、この実収入に対する不足金額は33,269円/月と報告されています。

また、サラリーマンが第二の定年を迎える65歳の時点から、 厚生労働省資料「令和元年簡易生命表の概況」の「簡易生命表による平均余命(2019年)」 でみると、夫(男性)の寿命は85歳、妻(女性)の寿命は90歳となり、まだまだ長い人生が残っています。

このため、ある程度投資を行い、保有資産の延命を図る必要がありますが、投資に失敗する危険性もあります。

個別の株式は、株価が高騰する銘柄や高配当利回りの銘柄があり魅力的なのですが、業績不振に陥ったり、最悪倒産等のリスクが生じますのでこれを投資の中心に据えるのはよほどの熟練者でなければ止めた方が無難です。

その点、市場の指数に連動するインデックス型の投資信託・ETF(上場投資信託)は商品により地域性や個別株式等のリスクが分散されますので、比較的安心です。

このため、 インデックス型の投資信託・ETF について、現状ではどの程度のリターン等が期待できそうなのかをいくつかの商品で比較して見ました(本稿では2021年8月22日時点の数値を参考にしています)。

なお、投資信託については、次の記事でまとめていますのでご覧ください。本稿ではETFについて記載します。

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投資信託とETFの利回り比較

ETFの比較

国内ETFは出来高が少なく信託報酬率等の管理費用も高いのであまりうま味がありません。このため、米国市場に上場している米国ETFについて紹介します。

市場指標に連動する米国ETFの特長としては、管理費用が安く、リターン等の確からしさも設定期間が長いので信頼性が高いと思います。ただし、株式同様に売買手数料が必要で為替の影響も受けます

主な米国ETF

次の表は、代表的な米国ETFの銘柄で、楽天証券ではこれらの銘柄の買付手数料が無料になります。ただし、売却する場合は売付手数料が必要です。

主な米国ETFの管理費用・リターン・分配利回り・設定日の比較
【主な米国ETFのリターンと分配利回りの比較】

バンガード・トータル・ワールド・ストックETF(VT)

低コストが有名なバンガード社のETFで、全世界の購入可能な株式時価総額の約90%以上をカバーしています。 ポートフォリオは、時価総額の加重平均を基にしていますので、時価総額の大きな米国や先進国の比率が高くなりますが、比較的安定した運用結果が得られます。

平均リターンは年率8.1%(以下、単にリターンといいます)、分配金が年間4回(6月、9月、12月、3月)あり分配利回り1.65%です。

バンガード・トータル・ストック・マーケットETF(VTI)

米国株式市場の投資可能銘柄のほぼ100%をカバーするETFです。同じく時価総額の加重平均を用いますので、大型株・値嵩株の割合が高くなります。

リターンは8.8%、分配金が年間4回(6月、9月、12月、3月)あり分配利回り1.23%です。

バンガード・S&P 500 ETF(VOO)

米国の主要業種を代表する大型株500銘柄の時価総額を基にした指標と連動するETFです。投資の神様「ウォーレン・バフェット氏」が奥さんのためにこの指数に連動するインデックスファンドを推奨しているので有名です。

リターンは15.8%、分配金が年間4回(6月、9月、12月、3月)あり分配利回り1.30%です。

SPDR S&P 500 ETF(SPY)

上記の同様、 米国の主要業種を代表する大型株500銘柄の時価総額を基にした指標です。歴史はこちらの方が長く、S&P500 ETFの草分け的な存在です。

リターンは10.5%、分配金が年間4回(6月、9月、12月、3月)あり分配利回り1.29%です。 バンガード・S&P500ETFより若干悪いですが、バンガードの方が歴史が浅い分、最近の株式市場活況の影響を反映しているだけでの意味合いです。

また、定期的に見直される500銘柄に絞っているため、全世界(VT)や全上場銘柄(VTI)を対象としてETFより好成績になっています。

SPDR ダウ・ジョーンズ REIT ETF(RWR)

ダウ・ジョーンズが米国REIT(不動産投資信託)の時価総額を基に算出している指標に連動するETFです。

リターンは10.1%、分配金が年間12回(毎月)あり分配利回り1.58%です。

留意点

米国ETFは信託報酬率等管理費用が安い反面、購入時にドルが必要ですので為替の影響を受けます。円を手に入れるためにもドルを売却して円貨に交換しなければなりません。また、株式同様に売買手数料が必要になります。

最近では、銘柄を限定してETF買付無料にしている証券会社があります。楽天証券の場合は、売付手数料は1回の取引につき、約定代金の0.495%(税込)がかかります(最低手数料0米ドル、手数料上限22米ドル(税込))。買付手数料が無料なので積立購入(定期的な購入)が可能ですが、最終的には売却して日本円に換えなければなりません。このため、管理費用が安いメリットを活かすためには、ある程度のボリュームが必要です。

これらから留意点をまとめると次のとおりです。

  • 極力円高の時にまとめてドルに交換しておく。
  • 購入ボリューム・想定運用期間・管理費用等を基に類似投資信託と比較して損益分岐点を見極める。
  • 分配金を頻繁に円貨に交換して受け取る事は避ける。
  • 米国市場の今後の伸長に期待して投資する。

方針

米国ETFについてまとめましたが、今すぐに購入するかと言えばNoです。今後の方針としては次のとおりです。

  • ノーロードで積立可能なインデックス型で、米国市場全体又はS&P500の投資信託を購入する。
  • 円高になった場合に、ドル交換を行い、チャンスに備える。そのための資金的余力を残しておく。
  • 上記後に運用期間が5年以上可能であれば米国ETFの購入を検討する。

なお、今回のデータは、楽天証券とSBI証券のものを参考にさせていただきました。詳細については、次のサイトをご覧ください。

→楽天証券公式サイトを見る

→SBI証券公式サイトを見る

さいごに

日本株式市場は、コロナ禍の真っ只で、なかなか良い傾向が見えません。その反面、米国株式市場は、度々大きな下落はありますが、長い目でみると安定して上昇を続けています。このため、米国市場への投資は必須と考えています。

また、投資信託の管理費用はかなり安くなっていますので、米国ETFの手数料等を考えると小口の積立レベルであれば投資信託で良いと思います。

とはいえ、何があるか分からない株式市場ですので、大きな円高の機会が訪れた場合は、ドル買いできるように余力を残していたいものです。しかし、米国市場の活況とテーパリングの気配、そして日本の状況をみるとまだまだ円安になりそうだし。。。なかなか欲との闘いは難しいものです。

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