世界的に株式市場が荒れており、一旦一部または全株式等を手仕舞いして休むも相場を実践されている人も多いのではないかと思います。次の出動機会のためにモーニングスターのサイトから国内ETFの過去1年間の上昇率等について調べてみましたので紹介します。
投資信託とETF
投資信託とはプロに託す投資スタイルですが、その中でもインデックス型の投資信託は、アセット(株式や債券等)や地域(全世界、日本、米国等)の広い銘柄に分散投資・運用する商品です。ターゲットにするアセットや地域で商品の特徴がでます。さらに積立もできますので、これにより時間分散も可能になります。
一方、ETFとは上場投資信託の事で、インデックス型の投資信託同様に、アセット・地域分散で運用・投資する商品です。
ここでは投資信託の中でも分配金を自動的に再投資するインデックス型のものとETFとを簡単に比較します。
主な点は次のとおりです。
区分 | メリット | デメリット |
---|---|---|
投資信託 | ・比較的少額で購入ができる ・分配金を自動で再投資できる(複利効果) | ・ETFより信託報酬率が少し高い ・リアルタイムで購入できない |
ETF | ・比較的信託報酬率が低い ・株式同様リアルタイムで購入できる | ・分配金を自動で再投資できない ・出来高が少ない銘柄もある(流動性に難) |
過去1年間の騰落率と月間出来高
騰落率ベスト10
次の表は、モーニングスターサイトからピックアップした国内ETFの騰落率トップ10の抜粋です。各々、名称・(証券)コード、騰落率1年間、信託報酬率、月間出来高を比較しています。
順位 | 国内ETF名称 | コード | 騰落率 1年間 | 信託 報酬率 | 月間 出来高 |
---|---|---|---|---|---|
1 | 中国H株ベア上場投信 | 1573 | 100.13% | 0.85% | 71,620 |
2 | (NEXT FUNDS)NOMURA原油インデックス上場 | 1699 | 68.51% | 0.5% | 39,216,050 |
3 | WTI原油価格連動型上場投信 | 1671 | 64.05% | 0.85% | 9,414,417 |
4 | (NEXT FUNDS)エネルギー資源上場投信 | 1618 | 25.18% | 0.32% | 6,680 |
5 | (NEXT FUNDS)ブラジル株式指数上場投信 | 1325 | 22.81% | 0.95% | 578,400 |
6 | (NEXT FUNDS)ダウ・ジョーンズ工業株30種(H無) | 1546 | 19.52% | 0.3% | 194,487 |
7 | (NEXT FUNDS)インド株式指数上場投信 | 1678 | 19.42% | 0.95% | 12,918,300 |
8 | Simple-X NYダウ・ジョーンズ上場投信 | 1679 | 18.29% | 0.5% | 15,150 |
9 | (NEXT FUNDS)金価格連動型上場投信 | 1328 | 17.44% | 0.5% | 76,430 |
10 | (NEXT FUNDS)医薬品上場投信 | 1621 | 15.27% | 0.32% | 4,359 |
国内ETF名称からみると、新興国から中国・ブラジル・インド、ウクライナ危機の影響とみられる原油・エネルギー、低迷が続いているとはいえ米国株式のダウ・ジョーンズ、堅調な金、コロナ禍等の不安から医薬品などが入っています。
そして、出来高に少ない国内ETFですが、1,000,000を超えるだけを挙げると原油とインドとなっています。
米国株式以外は、あまり手を出したくないような銘柄が並んでいます(金も良いのですが、この銘柄は出来高が少なすぎるので)。
月間出来高ベスト10
続いて、過去1年間の月間出来高ベスト10で、上から下へ順番に並べました。最左端の順位は、騰落率の順位です。
順位 | 国内ETF名称 | コード | 騰落率 1年間 | 信託 報酬率 | 月間 出来高 |
---|---|---|---|---|---|
151 | (NEXT FUNDS) 日経ダブルインバース上場投信 | 1357 | -9.41% | 0.8% | 1,882,754,047 |
149 | 日経平均ベア2倍上場投信 | 1360 | -9.23% | 0.75% | 261,416,900 |
161 | (NEXT FUNDS)日経平均レバレッジ上場投信 | 1570 | -10.11% | 0.8% | 230,502,280 |
146 | 楽天 ETF-日経ダブルインバース指数連動型 | 1618 | -9.04% | 0.35% | 207,714,888 |
206 | iシェアーズ S&P500 米国株 ETF(H有) | 1325 | -91.71% | 0.075% | 96,852,360 |
204 | iシェアーズ S&P500 米国株 ETF | 1655 | -88.88% | 0.075% | 76,343,750 |
13 | (NEXT FUNDS)東証銀行業株価指数連動型上場投信 | 1615 | 12.35% | 0.19% | 55,309,300 |
62 | (NEXT FUNDS)日経平均インバース上場投信 | 1699 | -2.83% | 0.88% | 47,503,967 |
2 | (NEXT FUNDS)NOMURA原油インデックス上場 | 1679 | 18.29% | 0.5% | 39,216,050 |
150 | ダイワ 上場投信-日経平均ダブルインバース | 1366 | -9.37% | 0.75% | 34,623,670 |
目に付くものとしては、ダブルインバースやインバースがあります。インバース銘柄は騰落率がマイナスに連動するものです(下がると利益が出る/上がると損失する)。
また、銀行業株価指数連動するETFがあり、最近の金利上昇傾向のためかと思います。
なお、iシェアーズ S&P500 米国株 ETF(H有)とiシェアーズ S&P500 米国株 ETFの騰落率が酷い事になっていますが、これは売買単位が2022年2月10日より1口単位から 10 口単位に変更されたためで、実際は10%前後のプラスです。
この事から、最近の下降トレンドにもかかわらず、騰落率1年間でプラスになっているものは、iシェアーズ S&P500 米国株 ETF(H有)、iシェアーズ S&P500 米国株 ETF、(NEXT FUNDS)東証銀行業株価指数連動型上場投信、(NEXT FUNDS)NOMURA原油インデックス上場の4銘柄です。
雑感
上記の傾向を踏まえて、雑感としてまとめと次のとおりです。
- 強い米国株式市場:ダウ・ジョーンズ工業株やS&P500に連動する商品が比較的強い傾向にあり、やはり米国株式市場の強さが再確認できました。
- 注目されたコモディティ銘柄:ウクライナ危機に端を発して原油やエネルギー関連銘柄が注目されました。
- 金利上昇懸念:銀行業株価指数に連動する商品も買われました。
- 株価下降トレンド:ダブルインバース型やインバース型のETFは、株価下降トレンドの時にリスクヘッジとして買われる傾向にありますので、この1年間を象徴しています。
- 目立つNEXT FUNDS:株価等動向とは関係ありませんが、NEXT FUNDSのシリーズが目に付きます。NEXT FUNDSシリーズは野村アセットマネジメントが発行・運営するものですので、野村グループがこの分野に力を入れていることがわかります。三菱UFJ国際のeMAXISシリーズ同様に要注視です。
さいごに
今年も残り一月強となり、来年の投資方針を考える時期になり、今回のまとめの発端になっています。表の内容については、あくまで過去1年間の実績ですので、来年以降も続くとは限りません。
それでも、米国株式の強さや鉄板としての金などは比較的安心して購入できるのではないかと考えています。既にある程度織り込み済の、アフターコロナ、ウクライナ危機終息時期、政策金利上昇継続、等々を予想しつつ方針を決めていきたいと思います。
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