株式配当にかかる所得税と住民税については、ほとんどの方は配当の約20%が源泉徴収される分離課税を行っていると思いますが、所得税と住民税は異なる課税方式の選択が可能です。一般のサラリーマンの方は異なる課税方式の選択をした方が有利ですので、昨年の実施例を基に説明します。
源泉徴収よりも有利な方法
皆さんは株式配当の課税は、総合課税の配当控除を使うより、分離課税で配当を受け取るときに20%(所得税15%※実際はさらに復興特別所得税0.315%が加わる、住民税5%)で済ませていると思います。しかし、所得税と住民税で異なる課税方式を選ぶことにより、税金が軽減される可能性があります。
所得税と住民税で異なる課税方式の選択
以前、会社の先輩から日経新聞(2018年4月14日付け)の「株式配当 こんな節税法も」という記事を紹介されました。上場株式の配当にかかる所得税と住民税で、異なる課税方式を選択することにより、税金を軽減する方法が注目されているという内容です。
つまり所得税は総合課税(配当控除あり)、住民税は申告不要にして源泉徴収(住民税5%)されたままで終了させるという方法です。
課税所得が900万円以下の方の配当金にかかる所得税・住民税の軽減に効果があるようです。
メリットとデメリット
異なる課税方式を選んだ場合のメリットとデメリットは次のとおりです。
【メリット】
・所得税・住民税トータルの税金が軽減できる可能性がある。
(昨年の確定申告時の還付金を見ると、源泉徴収された配当の税金分が半分以上戻ってくるような感じでした。)
・課税所得が減る分、社会保険料が軽減できる可能性がある。
【デメリット】
・別途自治体への届け出が必要。
必要な手続き
届け出の手続きは、自治体により少し異なるようですが、私の住んでいる市の場合は次のとおりです。
1.手続きの名称
手続きの名称は、「平成31年度市県民税申告及び平成30年分確定申告のご案内」の「上場株式等の所得に係る市民税・県民税の課税方式の選択」です。
2.申告方法
次の書類を申告期限までに自身で必要事項を記入の上、提出。
(1)市民税・県民税申告書(市民税・県民税では申告不要とする所得を含めずに記載する)
(2)上場株式等の所得に係る市民税・県民税申告不要等申出書
(3)特定口座年間取引報告書(写し可)
上記(1)は確定申告をしていれば、部分的に転記すればOKです。
上記(3)の特定口座云々については、私は一般口座で保有株式をほとんど保有していたので心配でしたが一般口座でも可でした。要は証券会社が出している年間報告書等配当・課税が分かる書類の写しを全て提出すればOKでした。
記載方法がよくわからない場合は、記載する箇所としては少ないので、わからない部分を提出時に自治体の担当の方に聞いても良いと思います。
提出期限
納税通知書が送達される日(私の住んでいる市では、例年、特別徴収は5月10日前後、普通徴収は6月1日前後に発送予定)までに必要書類を自治体(私の場合は市役所)の窓口へ提出します。
※特別徴収:給与から源泉徴収で納付、 普通徴収:本人が直接納付
私の場合は、確定申告の後の3月末に市役所に行きました。朝一番で行ったためか、それともこの方法がまだ周知されていないためなのか、私一人でした。
窓口では、担当の方が一旦書類を受け取り、全て確認された後に呼び出され書類の写しをもらって帰ってきました。所要時間は20~30分程度でしょうか。
皆さんも是非試してみてはいかがでしょうか。