遺産整理は大変複雑ですので、万一の時に相談や場合によっては代行依頼できると便利です。忙しい方や費用を抑えたい方向けに、ネットで相談したり、代行依頼ができるサービスがありますので、これを紹介します。
遺産整理や相続の準備について
自身が万一の時には、預貯金・有価証券等の確認、口座取消・名義変更、自宅登記の変更、遺産分割協議書の作成、相続税の申告・納付等々、残された家族は大変です。
相続関係の評判の良い司法書士等士業の方をご存じであれば、その方に初めから相談しても良いかもしれませんが、そのような方は少ないと思います。
最近では金融機関でもネットから相続関係の手続きについて 無料でサポートしてくれたり、費用を抑えて一部代行してくれる商品が出てきました。
ネットから相談や代行依頼ができる主なサービス
次の表は、ネットから相続関係の相談や一部代行を依頼・支援してくれるサービスの一例です。
金融機関とその商品等の名称、概要、費用をまとめています。
上記の表は、大きく2つの区分があります。
費用0(無償)の相続関係の情報提供をしてくれる三井住友信託とゆうちょ銀行のサービスと有償の手続き代行をしてくれるみずほ信託とマネックス証券(マネックスSP信託)のサービスです。
以下、各々について説明します。
情報提供サービス
無償のサービスなので、限られた範囲での情報提供となります。
WEB遺言信託サービス(三井住友信託銀行)
2019年の民法改正により、自筆証書遺言の方式が緩和され、遺言書の一部を手書きでなくとも可となりました。
これを一つの機会として自筆証書遺言が増えると予想されますが、「WEB遺産信託サービス」の主な内容は次のとおりです。
- 無料で利用できます。
- ネットからガイドに従った自身の想定される相続人(奥さん等遺産を引き継ぐ人)や財産を入力して確認ができます。
- 遺言書のイメージがメールで送付されてきます。これは、正式な遺言書ではありません。
- 必要であれば、店舗での相談予約ができます。なお、引き続き、相続商品である「遺言信託」や「スマートゆいごん」を利用する場合は有料となります。
三井住友信託銀行としては、顧客獲得のための有効ツールの位置づけですね。
この無料サービスを利用されたい方は下記サイトの下側をご覧ください。同サービスを開始するボタンがあります。
相続Web案内サービス(ゆうちょ銀行)
無料でネットから操作ができるゆうちょ銀行のサービスです。 主な内容は次のとおりです。
- 無料で利用できます。
- ネットから入り、案内に従い、遺言書の有無や家族関係等の情報を入力し、それを基に、ゆうちょ銀行の相続手続きに必要な書類を、ネット上で案内します。
- この必要な書類に一覧は印刷ができ、役所や家庭裁判所に書類交付の請求を行うものも含まれている場合があります。
- 後日、ゆうちょ銀行または郵便局の貯金窓口に、案内された必要書類を持参して手続きを行います。
必要な書類は、ゆうちょ銀行等に係るものだけですが、他の金融機関の手続きの参考になります。
なお、正式サイトは下記にありますので、必要に応じてご覧ください。
手続き支援・代行サービス
次は有償のサービスです。だいたい、遺産分割協議と相続税申告・納税などは非対応ですので、これらも一緒に考えなければなりません。
WEB遺産整理(みずほ信託銀行)
ネットから申し込みをし、比較的安価に遺産整理業務を代行してくれるサービスです。
主な内容は次のとおりです。
- 窓口に行かなくとも、ネットからの申込、選任スタッフによるLINE/メールでの相談・連絡ができます。
- 相続人は第3順位を含め、5名以下です。
- 主な受任業務は、金融機関の残高証明書・評価証明書の取得、遺産整理対象財産目録の作成、金融機関にある被相続人名義の財産の解約・換金手続および相続人代表への資金送金です。
- 中途解約の場合は、別途発生します。
報酬額(税込)は、金融機関数等により次のとおり異なります。比較的安価といえどもいい価格です。
- 基本報酬440,000円(みずほ信託銀行・みずほ銀行・証券会社を除く金融機関5店舗まで)。
- 上記を超えた場合は、1店舗ごとに22,000円。
- 証券会社の手続きがある場合は、1店舗(上場株式5銘柄まで)ごとに22,000円。証券会社1店舗につき上場株式が5銘柄超の場合、1銘柄ごとに5,500円。
マネックス証券/マネックスSP信託(WEB相続)
ついに証券会社も相続に手を出し始めました。マネックス証券は窓口ですが(代理店の位置づけ)、実際の信託業務は、子会社のマネックスSP信託が行います。
みずほ信託銀行と同じようですが、主な内容は次のとおりです。
- ネットで申し込みができ、ネットと郵便により手続きを進めます。
- 基本サービスとオプションサービスがあり、報酬額が異なります。
- 基本サービスは、対象金融資産の残高証明書の取得、対象金融資産等の一覧表の作成、対象金融資産等の名義変更・換価/解約の手続き、相続人代表者様名義の口座への換価資金等のお振込み 等の手続き代行です。
- オプションサービスは、戸籍謄本等取得代行サービス(戸籍謄本等の取得、法定相続情報一覧図の作成)と不動産調査・相続登記サービス(登記情報の調査等、遺産分割協議証明書の文書化、相続登記申請手続き)があります。
- 相続人代表者は、あらかじめマネックス証券の取引口座開設が必要です。
報酬額(税込)は、次のとおりです。みずほ信託銀行より少しお安くなっているでしょうか。
【基本サービス】
- 基本報酬330,000円(預貯金取扱金融機関5店舗およびマネックス証券を除く証券会社3店舗まで)。
- 上記を超えた場合は、1店舗ごとに22,000円。
- マネックス証券以外の証券会社1店舗につき上場株式が20銘柄超の場合、1銘柄ごとに2,200円。
- 中途解約の場合は、別途発生します。
【オプションサービス】
- 戸籍謄本等取得代行サービス:49,800円
- 不動産調査・相続登記サービス:75,000円+実費(登録免許税、郵送代、交通費)
少しお安いのでしょうが、なんとなく抵抗がありますね。なお、その他の相談するところとしては、次の記事でまとめていますので、ご興味があればご覧ください。
万一の時に銀行口座凍結や遺産相続で残された家族は大変な目に会います。事前準備をして自分たちで実行する手もありますが、これで不安な場合はどこに相談・依頼をするかを予め決めておき、それを伝えておくこともひとつの考え方です。相談・依頼する可能性[…]
さいごに
このように見ていくと、相続関係が単純で(相続人が奥さんとお子さんだけとか)、実施しなければならない項目や準備すべき書類が明確であれば、できそうです。
あまり費用はかけたくありませんので、 無料相談ぐらいにしておきたいころですが、実行するのは自分では無く、残された家族なので、本当にできるかといえばかなり心配になります。
このためにも、関係することは事前にエンディングノート等にまとめておきたいと思います。早めに準備をして、毎年見直し、家族に説明しておくことが重要だと思います。
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