米国の利上げ継続により米国株式市場が不安定な状態で、日本も円安傾向が続いています。このような時には、一旦株式市場から資金を退避させて外国通貨のままで外貨建MMFや外貨建債券、定期預金等の保有を考えている人も居られるのではないでしょうか。そこで、一例としてSBI証券と住信SBIネット銀行間の費用を抑えて外国通貨のままで移動する方法をまとめてみました。
はじめに
SBI証券では外国の株式や債券等を購入し、運用する事ができます。誰でも比較的容易に運用できるものとしては次の商品があります。
- 外国株式:米国、中国、韓国、ロシア、ベトナム、インドネシア、シンガポール、タイ、マレーシアの株式を扱っています。
- 海外ETF:米国、中国、インド、ASEAN諸国等の代表的なインデックス(指数)に連動する海外の上場投資信託(ETF)を扱っています。
- 外貨建MMF:米ドルMMFを4種類、南アフリカランドMMFとトルコリラMMFを各々1種類扱っています。
- 外貨建債券:米ドル建、ユーロ建、豪ドル建、NZドル建、カナダドル建、南アフリカランド建等の債券を扱っています。
- FX:外国為替保証金取引です。米ドル/円やユーロ/円等、全28通貨ペアを扱っています。
外貨運用を行う場合は、なんらかの方法で円貨を対象外貨に変更しなければなりません。また、外貨運用結果を日本で使う場合、最終的に円貨に戻さなければなりません。このため、外貨⇔円貨の交換が簡単にでき、しかも比較的費用が安くできる事が重要です。
本稿では、外貨を米ドルとし、そして外貨運用に優れているSBI証券と住信SBIネット銀行(NEOBANK)を例に説明していきます。具体的には次の「外貨即時決済サービス」が優れものだと思います。
外貨即時決済サービスとは
SBI証券とNEOBANK間では、手数用無料で外貨を移動できる「外貨即時決済サービス」があります。これは、NEOBANKの外貨普通預金からSBI証券の外貨建口座に入金・出金ができるサービスで、主な特徴は次のとおりです。
- 入出金手数料:NEOBANKとSBI証券の外貨建口座の入出金手数料は無料です(SBI証券が負担してくれます)。
- 利用可能通貨:米ドルはもちろんのこと、ユーロ、豪ドル、NZドル、カナダドル、南アフリカランド、香港ドルの7通貨です。
- 円貨に交換する場合の為替手数料:外貨即時決済サービスとは直接関係ありませんが、NEOBANKで米ドル→円貨に交換する為替手数料相当は6銭で、ネットバンクとしても低額です。
- 利用時間:ネットから24時間可能です。
- 即時反映:SBI証券の外貨建口座へ入金された米ドルは即時に買付余力へ反映されます。
- 入金最小単位:10通貨単位以上で0.01通貨単位ごとです。米ドルの場合は10ドル以上1セント単位となります。
- 利用条件:NEOBANKの外貨預金口座を保有し、SBI証券の外貨建口座を保有されている人が対象です。
NEOBANKのメリット
外貨で運用している資金は、日本で利用する場合、最終的に円貨に交換しなければなりません。次の表は、NEOBANKとSBI証券での米ドル⇔円貨の交換費用です(正確には為替スプレッドといい基準為替レートとユーザに提示する為替レートの差です)。1万米ドルに交換したい場合、NEOBANKでは600円(=10,000米ドル×6銭)、SBI証券では2,500円(=10,000米ドル×25銭)の費用がかかりますので、NEOBANKの方が有利です。
比較 | NEOBANK | SBI証券 |
---|---|---|
交換費用:米ドル⇔円貨 | 6銭/ドル | 25銭/ドル |
SBI証券で株式運用等をされている人は、金利優遇のあるハイブリッド預金(金利0.01%)を利用するためNEOBANK口座を開設していると思います。そして、前述の「外貨即時決済サービス」を利用するためには、さらにNEOBANKに「米ドル普通預金口座」を開設しなければなりません。この方法を次に説明します。
NEOBANKでの米ドル預金口座の開設方法
NEOBANKの説明をみると、「受取通貨と同一通貨の外貨預金口座をお持ちでない場合は、入金処理に通常よりもお時間がかかる場合がございますので、受取通貨と同一通貨を1通貨以上買付し、外貨預金口座を開設してください。」とありますので、以下、米ドルを1ドル買付て米ドル預金口座を開設してみたいと思います。
米ドルの買付
NEOBANKの外貨普通預金から米ドルを買付ます。次の画面は、外貨普通預金の為替レート・注文画面です。米ドルの欄の買付レート内の「買付」をクリックします。
規定等の確認
電子交付の確認や外貨預金等書面・外貨預金規定等の確認などが表示されます。必要な書類等の確認や投資経験などを入力して、次に進みます。(詳細説明は省略します)
買付指示
具体的な数量等を入力・選択していきます。
- 出金口座:開設済のNEOBANKの代表口座が選択されています。
- 入金口座:これから開設する米ドル普通預金口座です。
- 注文方法:注文方法が指示できます。リアルタイム注文、指値注文、複合指値注文(IFD、OCO)が可能です。本稿を休日に作成したので、ここでは、ウィークエンドを選択しました。ウィークエンドでは、外国為替市場休場明けの更新される最初に提示されるレートで約定されます。
- 買付金額:円指定か米ドル指定かを選択します。ここでは米ドル指定にして1米ドル買付します。
注文完了
入力した内容を確認する画面が表示され、「確定する」をクリックすると次の画面になり、注文は完了です。
これで米ドル普通預金口座が開設できました(実際は休日明けに開設されます)。これでSBI証券の米ドル口座と紐付ける事で外貨即時決済サービスが利用できます。また、NEOBANK内で円貨⇔米ドルの交換が簡単にできるようになりました。今後の交換時は、(開設時の投資経験等の確認が無いので)方針が決まっていれば数分の作業です。
さいごに
主に外貨即時決済サービスとNEOBANKでの米ドル普通預金口座の開設方法を説明しました。初めて開設する際に何で米ドルを買付しなければならないのかと思いましたが、市中銀行でも初めて口座を作る時に少しお金を入れていましたね。
日本株式市場がなかなか元気にならない状態では、米国株式市場への期待が大きいです。しかし、米国株式市場もさらに下落する可能性があります。そのような時に一旦米国株式等を米ドルに換え、暫くは米ドルMMF等で様子見もありと思い、本稿をまとめました。ご参考になれば幸いです。
にほんブログ村