平均余命からの寿命予測とそれまでに準備すべきこと

自分がこの世を去るときの準備は万全でしょうか。平均余命から自分の寿命を予測し、終える時の5年以上前までに準備すべきことをまとめてみました。自分のその時を考えるのは嫌かもしれませんが、残された家族に迷惑をかける事の無いように早めに準備しましょう。

月日の流れは速い、特に最近では

自分がいつ死ぬかなんて神でも無い私たちではわかりませんよね。定年後は、確かに腰や膝が痛いや物忘れが多くなってきたとか、今一体調が変わったなぁ~との実感があるのですが、それほど気持ち的には変わったわけでは無く、なんとなく現役のころと変わらずに生きている気がします。

このため、知らず知らずのうちに月日が経ち、いざその時を迎えた際は何もしていなかったという事があるかもしれません。早めに準備しましょう。

平均余命の活用

ここに厚生労働省が作成した男女の平均余命のデータがあります。

平均余命とは、その年齢まで生きていた場合にあと何年生きているのかを統計的にとった値です。例えば、表で男性60歳時点では、平均83.84歳まで生きる。男性80歳時点では、平均89.06歳まで生きることになります。少々逃げ水的な数値ですが、現時点から見た寿命の目安になります。

寿命の目安

現時点で自分が60歳だとすると約84歳がその時を迎える年になりますので、この年から逆算し、遅くとも5年前にはエンディング準備完了としたいものですね。
本当はその準備は早ければ早いほど良いので、すぐに準備開始となるのですが、準備済の方でも、状況はどんどん変わりますので毎年見直すことが必要です。ましてや準備をされていない方は遅くとも5年前には準備を終えておくことを考えてください。

何を準備しなければならないか

それでは何を準備しなければならないのでしょうか。主なものをリストに上げてみました。下記の他に友人・知人、お世話になった方々へ連絡したいという希望等があるかもしれませんが、それらは「その他希望」に含まれていると考えてください。
※あまり書きすぎると重要なポイントがわからなくなるので、「その他希望」で逃げています。

  1. 財産・負債の明確化
  2. 相続対策
  3. お墓の無い方はお墓等の準備
  4. どのようなお葬式が希望か
  5. 処分するもの
  6. その他希望

財産・負債の明確化

我が家にどのような財産(資産)あるか整理しているでしょうか。自分名義か奥さん名義か分けて、明確化してください。自分が亡くなった時には残された家族が必ず行わなければならない事ですので、準備必須です。
どのような資産・負債があるのか、また考慮すべき事は何があるのかを以下に説明します。

資産

主な資産としては次のものがあります。本人が資産なんて無いと思っていても以外とあるものです。

  • 不動産(自宅等):権利書、関係書類(登記簿謄本/抄本、契約書)
  • 預貯金:金融機関名、支店、口座番号、カードの在り場所、ネット取引をしている場合はURLやパスワード、連絡先等
  • 株式等:証券会社名、支店、口座番号、ネット取引をしている場合は、URLやパスワード、連絡先等
  • 生命保険、損害保険:証券の在り場所、掛け金と引き落とし口座、連絡先
  • 公的年金:種類、基礎年金番号、年金証書番号、連絡先、受取口座
  • 企業年金:企業年金担当部門の連絡先、会社における本人情報等
  • その他:貴金属、会員権(ゴルフ等)、車、絵画等
  • その他(資産ではありませんが):実印、マイナンバーカード、パスポート等

負債

主な負債としては、次のものがあります。資産よりも負債の方の額が大きい場合は、相続放棄することもできます。

  • 住宅ローン(あれば):契約書、引き落とし口座、団信保険契約書等
  • クレジットカード:カード会社、番号、連絡先、引き落とし口座等
  • その他ローン(あれば):車のローン、教育ローン、カードローン(借入先、連絡先、引き落とし口座等)等

相続対策

相続の対策としては、まず相続人を把握し、遺産にかかる基礎控除額を意識して考えます。

  • 相続人の明確化
  • 相続税対策

相続人の明確化

自分(被相続人)の死亡により、残された家族に遺産が正しく相続されるかを事前に考えなければなりません。なお、配偶者(内縁関係は含まれません)は常に相続人になります。

相続財産は自分(被相続人)の財産ですので、自分の考えに基づき相続分を決めたいと思うのではないでしょうか。場合によっては、遺言書により相続を指示しなければなりませんので、注意しましょう。

相続税対策

自分か亡くなった後に相続税が発生する可能性があります。このため、遺産にかかる基礎控除額等の結果、相続税がかかるのか、相続税がかかりそうな場合はどの程度用意しておかなければならないのかをある程度押さえておく必要があります。場合によっては、相続専門の税理士や弁護士と相談しなければならないかもしれませんので、事前に検討しておきましょう。

注)遺産にかかる基礎控除額の計算式
遺産にかかる基礎控除額=3,000万円+600万円×(法定相続人の数)

お墓の無い方はお墓等の準備

私のように地方出身者は自分が入るお墓が無い方も多いのではないでしょうか。お墓も霊園の一区画を借りて作ったり、納骨堂にしたり、最近では散骨にしたりと次のようにいろいろなタイプがあります。

  • 個別墓(霊園に墓石)
  • 集合墓・合祀
  • 納骨堂
  • 樹木葬
  • 散骨(山、海、宇宙 ※勝手に撒くと法律違反)

また、お墓も公営霊園や宗教法人が運営する民間霊園があります。宗教法人が運営する民間霊園でも宗派を問わず誰でも入れるところがあり、定期的なお弔いは特に希望が無ければ運営している宗派のスタイルで行われます。

自分の死亡時期をコントロールすることができませんが、あまり早くお墓を作ると傷んでしまいますので、私の場合は平均余命から得た死亡時期から5年ぐらい前に作ろうと考えています。

お墓のだいたいの相場はこのWebサイトの「お墓が無いので相場を調べてみました」に書きましたので、ご参考にしてください。

どのようなお葬式にしてもらいたいか

「適当にやってくれ」が正直なところかもしれませんが、残された家族は悲しみの中で死亡届、財産の処分、病院への支払い等大変な状況ですので、これも事前に家族で話し合い決めなければなりません。
葬式の形態としては主に次のものがあります。

  • 一般葬
  • 家族葬
  • 社葬・団体葬
  • 自然葬(遺骨を直接自然へ返したり、墓標等人工物を用いないもの)
  • 自由葬(宗教にとらわれず遺族が独自又は葬儀社と相談して行う葬儀)
  • 直葬(火葬式、葬式の儀式を行わず火葬だけ。)

また、自分に希望があればそれも残しましょう。主なものは次のとおりです。

  • 宗教・宗派
  • 上記葬式スタイル
  • 遺影に使う写真
  • 納棺時に一緒に入れてもらいたいもの 等

葬式の生前予約やセレモニーホールが運営する冠婚葬祭互助会などを活用されている場合は、その情報も遺族が分かるように残してください。

処分するもの

自分だけが使っていたものや趣味などの物・データ等は遺族にとって不要なものが多いと思います。遺族が気兼ねをして捨てづらいこともありますので、廃棄してもよいものは明記しましょう。
特に最近では、SNSやクラウドに個人情報・データを残していますので、消去してもらうために、これらの運営会社、プロバイダーの連絡先等の情報を明記しておきましょう。

  • スマホの契約情報、連絡先
  • デジタル情報:SNS情報、会員情報、連絡先、クラウド情報
  • 家族には不要と思えるもの:黙っていると家族が捨てるのを気兼ねするので、廃棄してもよいものも明記(本人の趣味のものとか)

その他希望

その他希望があれば、残しておきましょう。
思いつくものとしては次のとおりです。

  • 寄付
  • 臓器提供(年齢制限あり)
  • 残されたものに託したいこと
  • その他

残された方に感謝されるように

事前に考えなければならない事が結構ありますね。いままで記載した内容を事前に考えておかない場合は、遺族の方がその時に急に考え、実行しなければなりません。
このため、上記のことをエンディングノートや電子データにまとめて奥さんに伝え・保管しておくことをお勧めします。
最近では、書店でいくつかのエンディングノートを見かけるようになりましたので、それを基に記載していくと整理ができます。エンディングノートは、いざという時に奥さんや家族がすぐに探しだせるようにしておかなければなりません。

ただし、お金関係のパスワードの管理は慎重にしなければなりません。このパスワードは、人の目につくかもしれないエンディングノートに記載せずに、例えば、セキュリティ用のキーをつけて電子データとして保管しておくとかUSBメモリにパスワード付きのExcelファイルとして入れておくとか工夫が必要です。

「お父さん、ありがとう。」と思われるように事前に準備をしておきましょう。

この記事では、寿命の目安を見てみました。安心な老後を過ごすためには、家計の収支を明確にしたキャッシュフロー表の作成が有効ですが、何歳までの分を作成するかはこの寿命が目安になります。ご興味があれば、キャッシュフロー表の関連記事もご覧ください。

関連記事

定年までにどのぐらい貯蓄をしなければならないかとか、老後破産を防ぐためにはどうすべきかなど、いろいろと悩まれている方が多いと思います。この悩みを少し解決する方法が、事前に我が家のキャッシュフロー表を作ることです。これを作ることにより、貯蓄[…]

ライフプラン

楽天市場
5



エンディングの準備
白ノ葉ブログの最新情報をチェック!