認知症による証券口座の凍結が怖い、証券会社の家族信託サービスの活用

認知症になると銀行口座だけではなく、証券口座も凍結されます。事前に考えておかなければならない事ですが、楽天証券に有効な対策の一つである家族信託サービスがありましたので、概要を説明します。

財産を託す方法

例えば自分が認知症になった場合、銀行の口座や証券会社の口座が凍結されて家族がお金を下ろせなくなります。その結果、介護費用にそのお金を使いたくとも簡単にはできなくなります。

このような場合に、自分の財産を他の人に託し、管理してもらう方法として、主に次の3つがあります。

  • 後見制度を活用する
  • 信託銀行を活用する
  • 家族信託を活用する

ここでは、最近注目を浴びている家族信託について、証券会社のサービスについて紹介します。

なお、後見制度の概要については、次の記事をご覧ください。

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信頼

また、信託銀行が高齢者対応に開発した商品について、ご興味があれば下記もご覧ください。

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信託銀行

家族信託とは

昔は信託業務を行えるのは信託銀行だけでしたが、今は信託業の免許を持たない人でも、営利目的とか、特定の人から1回だけとか等の条件で実施できるようになりました。

これを民事信託といいます。

なお、「家族信託」は、一般社団法人家族信託普及協会の商標登録で、 民事信託のうち、家族が信託を行うことを意味しています。

この制度を活用することにより、自分が認知症になった場合、家族の誰かに財産を安全に管理してもらえるようになります。

楽天証券の信託口口座サービス

楽天証券は、2020年4月27日に「楽天証券、IFAを通じた『家族信託サービス』を開始」 をプレスリリースしました。このようなサービスはまだ証券会社では数少ないので、概要を紹介します。

主なポイント

主なポイントは次のとおりです。

  • 委託者(財産を託す人:例えば認知症になる可能性のある方)が保有する有価証券(株式、債券、投資信託)を楽天の証券口座に受け入れることができます。
  • 受託者(財産を託された人:家族の誰か)の判断で、上記口座の財産を管理・運営・処分できます。ただし、その場合は、IFAサービスを利用しなければなりません。
  • 信託契約書は、公証人が作成する契約書であることが必要です。
  • 手数料は無料ですが、取引は IFAサービスを介しますので、取引に係る手数料等が発生します。

IFAとは

ここでIFAとは、独立系ファイナンシャルアドバイザー(Independent Financial Advisor)のことで、顧客のために中立的な立場で金融商品等をアドバイスしてくれる方で、内閣総理大臣の登録を受ける必要があります。

楽天証券の家族信託サービスのイメージ

次の図表は、上記プレスリリースの資料に記載されていたものです。

Trust image
about RAKUTEN service

留意点

楽天証券の家族信託サービスは、大変良いサービスだと思いますが、留意点もあります。

移管できるのは同じ運用会社のものだけ

楽天証券の証券口座に他社の証券口座等にあった証券類を移さなければなりません。

株式の場合は問題無いと思いますが、投資信託の場合は、証券会社により扱っている種類が異なりますので、同じものを扱っている運用会社のものだけになります。

公証人が家族信託契約書を作成

公証人とは、国の公務である公証事務を担う公務員で中立・公正でなければなりません。このため、原則として、判事や検事などを長く務めた法律実務の経験豊かな者で、公募に応じた者の中から、法務大臣が任命します。

家族信託の契約書は、公証人が作成し、公正証書化することが必要です。このため、少し費用が発生します。

公証人については、次の記事をご覧ください。

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手数料

家族信託自体の手数料は無料ですが、株式等を売却する際の取引手数料等が発生します。楽天証券の取引手数料は一般的に安いのですが、IFAサービスを介する取引手数料は比較的高めです。

例えば、100万円の株式手数料は、楽天証券のネット取引では535円(税込)ですが、楽天証券の家族信託サービスのIFAサービスを介すると11,000円(税込)です。

とはいえ、大手証券会社の店頭取引相当の手数料ですが。

→楽天証券をみる

さいごに

認知症等の対策のため、国が後見制度を創出しましたが、この中の法定後見制度は、後見人に全くの他人がなったり、お金を下ろすのが大変だったり、一生費用が発生する等いろいろと問題があるようです。

このため、家族信託が注目を浴びています。そのほかに、任意後見人とか信託銀行の活用とかありますので、費用と自由度・裁量等で考えなければなりません。

認知症になる事自体が恐怖ですが、家族が困らないようにその後の対策も考えてみたいと思います。

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