定年後の生活の安定のためにはある程度投資を行い、資産を維持させる事が重要です。その中でも順調に上昇している米国市場市場を組込みことは欠かせません。米国株式指標とこの指標に連動し、比較的リスクを抑える事のできるインデックス型の投信信託やETFについて説明します。
米国株式市場での資産運用について
最近の日本株は、少し値動きが激しいきらいがありますが、それでも順調に上昇しています。しかし、バブル期の最高値38,915円(1989年12月29日)をいまだ抜けません。
一方、NYダウでは最高値がたびたび更新されている状況で、チャートを見ても大きな下落が何度かありましたが、概して安定的に上昇傾向にあります。
世界の経済は、米国を中心に回っており、株価チャートをみても上昇トレンドが継続されていますので、ある程度の米国市場への投資は必須だと思います。
しかし、個別の株式になると他国の事で情報が疎くなりどのようなリスクが隠されているかわかりません。このため、投資リスクを下げるために分散投資が可能なインデックス型の商品を調べてみました。
米国の主な株式指数
投資候補である商品の説明に入る前に、米国の代表的な株式指数について説明します。
ニューヨークダウ(NYダウ)
NYダウは正式には「ダウ・ジョーンズ工業株30種平均」という名称です。
ダウ・ジョーンズ社が、米国株式市場に上場している代表的な企業30銘柄で構成されている指数で、株価を合計して銘柄数で割る事で指数を計算しています。株価の単純平均です。
名称では、工業とついていますが構成をみるとアップルやマイクロソフトなどIT企業も含まれており、その時代に合わせた銘柄になっています。そのほかの銘柄としては、ボーイング、マクドナルド、ディズニー等アメリカを代表する会社が含まれています。
なお、日本市場の代表的な株価指数では「日経平均」がありますが、以前は「ダウ・ジョーンズ工業株30種平均」と同じような指数として「日経ダウ」と言っていました(少々古い話ですね、本題には関係ありません)。また「日経平均」は株価の単純平均ですが、もう一つの代表的指数であるTOPIXは次のナスダック総合指数と同様に時価総額加重平均方式です。
ナスダック総合指数
アメリカの全米証券業協会(NASD)が運営している電子株式市場「NASDAQ」に上場している3,000以上の銘柄全てを対象にしており、時価総額加重平均方式で計算した指数です。またその基準は、1971年2月5日の値を100として算出しています。
主な銘柄としては、GAFAM(グーグル、アマゾン、フェイスブック、アップル、マイクロソフト)や日本企業の日産自動車、三井物産、三菱電機、任天堂なども加わっています。
ナスダック100指数
電子株式市場「NASDAQ」に上場している銘柄から金融株を除いた時価総額上位100銘柄から成り、時価総額加重平均方式で計算されています。構成銘柄は毎年12月に入れ替えがあります。
なお、ナスダック100指数に金融銘柄が含まれない代わりに、ナスダックに上場する時価総額上位金融銘柄の株価指数としてナスダック金融100指数があります。
S&P500
NYダウとNASDAQに上場している代表的な企業500社をスタンダード・アンド・プアーズ社(S&P)が選び、算出している指数です。この指数は「500銘柄の時価総額の合計÷過去の一時点の500銘柄の時価総額の合計」で計算しています。
両市場の代表的500社をカバーしており、時価総額では約75%を占めていますので、株式市場全体を表す指数として重宝されています。
S&P500ESG
S&P500の銘柄からタバコ、非人道的兵器、燃料炭に関与する企業、UNGC(国連グローバル・コンパクト:人権の保護、不当な労働の排除、環境への対応、腐敗の防止等10の原則に賛同する企業)スコアが低い企業等を除外した銘柄から構成された指数です。
最近ではESG(環境・社会・ガバナンス)に関心が高まっており、日本でも、多くの企業でESGの取り組みがなされていますので、投資の傾向としては一つの目安になります。
CRSP USトータル・マーケット・インデックス
CRSP(Center for Research in Security Prices:シカゴ大学証券価格調査センター)が開発したもので、米国市場に上場する約4,000企業の時価総額加重平均型の株式指数です。約4,000企業ですので米国で投資可能な銘柄のほぼ100%を網羅しています。
この指数が有名なのは、インデックス型で経費率が安いバンガード社のVTIに採用されているためです。
インデックス型の商品
インデックス型の投資商品としては、ETF(上場投資信託)や投資信託があります。対象は米国株式で構成された商品ですので為替の影響を受けます。
ETFの特徴は次のとおりです。
- 日本市場で購入できる国内ETFと米国市場で購入できる米国ETFがあります。
- ETFの購入は、個別株式の購入と同様に売買手数料が必要です。ただし、最近では買付手数料無料の証券会社もあります。
- 分配金は自動的な再投資(元のETFに組み込む事)が出来ません。再投資する場合は自分で追加購入しなければなりません。
- 投資信託と比較して経費率が低い傾向があります。
投資信託の特徴は次のとおりです。
- インデックス型の投資信託は一般的にノーロード(売買手数料無料)です。
- 積立が可能で、分配金は再投資を選択する事ができます。
- ETFと比較して経費率が若干高い傾向があります。
ETFの商品例
次の表は、国内外のETFの商品例です。国内ETFは、米ドルを意識しなくとも日本円で購入できますが、米国ETFの場合は、一旦米ドルに交換しなければなりません。
しかし、最近では、日本円⇔米ドルで片道25銭/ドル以下の交換レートや購入手数料無料等があり、米国ETFも購入しやすくなっています。
例えばSBI証券と口座連携ができる住信SBIネット銀行では、米ドルとの交換レートは4銭です。
この中で、NYダウでは「SPDR ダウ工業株平均ETF(DIA)」、ナスダック100では「Invesco QQQ Trust, Series 1、NASDAQ: QQQ」、S&P500では「IVVかVOO」、S&P500ESGでは「NEXT FUNDS S&P 500 ESG指数連動型上場投信」、CRSP USトータル・マーケット・インデックスでは「VTI」等の経費率が低くなっています。
そしてあらためてバンガード・グループの経費率の低さと、それにつられてでしょうかブラックロックの経費率も低くなっています。
米国ETF買付手数料無料の内容については、次の記事もご覧ください。
国内株式等の売買手数料はネット証券を利用すると安くなっています。さらに一日の約定金額が一定金額以下であれば売買手数料が無料になったり、指定された米国ETFの買付手数料が無料になるサービスが出てきました。米国ETFの場合は、為替コストも重要[…]
投資信託の商品例
次の表は、投資信託の主な商品例です。全て売買手数料無料(ノーロード)のインデックス型投資信託です。
投資信託の経費率は、ETFに比べて少し割高です。しかし、米ドルへの交換を意識する必要が無く、積立可能で分配金も自動で再投資してくれますので、とても使い勝手の良い商品だと思います。
この中で比較的経費率の低い商品シリーズでは、eMAXIS Slimシリーズ(Slimが付いていないのは少し高いです)、iFreeシリーズ、たわらノーロードシリーズです。
また、楽天・全米株式インデックス・ファンドは、米国ETFのVTIに連動する投資信託です。VTIの経費率0.03%と比較すると高そうに見えますが、他の投資信託では低い部類ですので、良い商品だと思います。
ETFや投資信託の詳細については次の証券会社の公式サイトをご覧ください。私も利用させていただいています。
指数の傾向から
次の図は、各指数の最近5年間のパフォーマンスを表したものです。紫色は「バンガード・トータル・ストック・マーケットETF(VTI)」で「CRSP USトータル・マーケット・インデックス」相当のチャートになります。
最近5年間では、ナスダックの指数が相対的に良い成績となっています。ナスダックの商品としては、ナスダック100に連動するものがありますので、これを狙うのが良いのかもしれません。ただ、ナスダックの性質上IT関係の企業が多く、その動向が影響しています。また、5年間という短期間ですので、購入検討の際にはそれらの事を念頭に考えておく必要があります。
インデックス型の商品は長期投資が基本スタンスですので、他の指数も5年程度では悪いとは一概に言えません。どれにしても5年でほぼ2倍以上ですので、やはり米国株式市場はすごいですね。
私は、経費率の低いS&P500やVTIを購入しています。もしもさらに購入するのであれば、インベスコのQQQや野村アセットマネジメントの「NEXT FUNDS S&P 500 ESG指数連動型上場投信」あたりが面白そうだなと考えています。
さいごに
米国市場は、新型コロナウィルス感染後を見据えた大規模な経済対策により大活況となっており、怖いくらいです。このような中で、個別株式に不用意に手を出すと火傷してしまうかもしれません。
その点、指数連動型(インデックス型)のETFや投資信託は、経費率が低く良い商品だと思います。経費率はさらに引き下げ競争の再燃や売買手数料無料、為替交換手数料無料等いろいろと費用を安くする動きが盛んになっていますし、積立を行えばそれほど株価の上下を気にする必要がありません。
定年後といえどもまだ余命でみると20年間以上も生活していきますので、ドタバタの売買を繰り返して大きなキズを負う事なく、落ち着いてある程度は積立運用し、少しでも保有資産の延命を図りたいと考えています。
===↓ブログ村ランキングに参加しています。
にほんブログ村