米国株式は、過去の実績を見ると日本株式よりも優れていますが、個別株式になるとリスクが大きくなります。しかし、インデックス型の投資信託では、米国株式市場が低迷していても却って安く購入できると割り切る事ができ長期的に見れば利益が期待でき、比較的安心です。ここでは、為替レートに煩わされない投資信託について実際の銘柄を基に比較してみました。
米国株式指数としては何が良いか
米国ETF(上場投資信託)や投資信託を購入する場合は、ノーロード(売買手数料無料)で米国株式指数連動のインデックスファンドを選択するのが費用を抑え、安定的に値上がり益も比較的期待できます。
米国株式指数としては、S&P500やNASDAQ指数等いろいろありますが、市場連動型の次の代表的な米国ETFで5年間の相対比較をしてみました。
- VT:Vanguard Total World Stock Index Fund ETF、全世界の先進国・新興国株式市場を対象にしています。
- VTI:Vanguard Total Stock Market Index Fund ETF、米国市場のほぼ100%の株式を対象にしています。
- VOO:Vanguard 500 Index Fund ETF、米国市場の大型株500銘柄の株式を対象にしています。
- QQQ:Invesco QQQ Trust Series 1、米国NASDAQの中で金融機関を除いた時価総額上位100社の株式を対象にしています。
この結果では、最も良いのがQQQ(NASDAQ100指数連動)、そしてVOO(S&P500指数連動)とVTI(ほぼ全米国株式)、さいごにVT(ほぼ全世界)となっています。
詳細は次の記事をご覧ください。
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米国株式対応の投資信託の比較
先の結果は、米国ETFでしたが、さらに購入しやすい投資信託で比較してみたいと思います。比較対象の銘柄としては、米国ETFほど設定開始が古いものが少ないので、3年間で比較でき、上記米国ETFと比較的類似しているものを選んでいます。
信託報酬率でみると上記銘柄よりも低い他銘柄のものもあります。これらを使用しなかったのは、単に設定期間が短く他の銘柄と3年間の比較ができなかったからです。例えば次のような銘柄がありますので、こちらで運用する方法もあります。
- iFreeNEXT NASDAQ100インデックス>eMAXIS NASDAQ100インデックス(信託報酬率0.440%)
- eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)>SBI・V・S&P500インデックス・ファンド(信託報酬率0.0938%)
- eMAXIS Slim先進株式インデックス(※こちらは米国だけではありませんが)>SBI・V・全米株式インデックス・ファンド(信託報酬率0.0938%)
- eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)>SBI・全世界株式インデックス・ファンド(雪だるま(全世界株式))(信託報酬率0.1102%)
話を戻して、「米国市場対応の投資信託の比較表」に載っている銘柄の3年間の比較チャートが次のグラフです。
比較結果をまとめると
米国ETFと同じような結果で、まとめると次のとおりです。
- iFreeNEXT NASDAQ100(緑のグラフ)が最も良い結果です。3年間の基準価額の上昇率は95.26%です。費用は、信託報酬率0.4950%と他の銘柄よりも大きいですが、それを吸収している結果です。先端企業やベンチャー企業が多く含まれているNASDAQで、その中から100社に絞られているのが良いのだと思います。
- 次がeMAXIS Slim 米国株式(S&P500)(青のグラフ)で、3年間の基準価額の上昇率は64.13%です。そして、eMAXIS Slim 先進株式インデックス(赤のグラフ)で、3年間の基準価額の上昇率は52.08%です。
- さいごがeMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)(黄のグラフ)で、3年間の基準価額の上昇率は45.20%です。
世界の株式市場は米国を中心にまわっており、日本を始め先進国・新興国の株式市場は米国株式市場と強い正相関があります。
そして、投資信託の対象が全世界よりも米国、米国の中でも全体よりもNASDAQやS&P500と絞られている株式指数連動型が良い結果となっています。組み込まれる銘柄が定期的に選別されているのがその理由だと思われます。
これらから結論としては、iFreeNEXT NASDAQ100インデックス(信託報酬率0.4950%)やeMAXIS NASDAQ100インデックス(信託報酬率0.440%)等のNASDAQ指数に連動する投資信託が良いと思います。
さいごに
一般的に積立投資信託の対象銘柄としては、リスク分散のために地域や分野を広くカバーする銘柄にするのが良いと言われています。確かに短・中期で積み立てを行うには広くカバーした方が痛い目に会う事も少ないのでしょう。
そうとはいえ、今回の結果では、リスク分散をするにしてもある程度選別した方が良いという結果です。つまり、地域としては米国(または米国に重きを置く銘柄)、その米国の中でもさらに選別した銘柄(NASDAQ100やS&P500指数に連動する銘柄)がよさそうです。一時的に基準価額が落ち込んでも長期で考えると十分リカバリーができそうです。
今回の結果を受けて、積立投資信託等のポートフォリオをNASDAQ100中心に組み替えたいと考えています。みなさんもリスクを十分認識され、検討されてはいかがでしょうか。
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