認知症になっても安心、手軽に活用できる信託銀行の商品の比較

超高齢化社会を迎え、認知症や介護が心配になりますが、 信託銀行では、これらに対応する信託商品を出しています。意外と手軽なこれらの商品について、比較を交えて紹介します。

ここで説明する信託商品について

信託銀行では、相続・贈与、遺言、事業承継等々いろいろな信託商品を扱っていますが、ここでは、定年から終わりにかけて心配な認知症や介護に活用できそうな自分年金、家族年金・一時金類に絞り、説明します。

これらの中には意外と手軽に活用できる商品もあります。

なお、生命保険信託、遺言信託については、次の記事でまとめていますので、こちらの方をご覧ください。

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遺言信託の説明と費用比較

また、暦年贈与や教育資金贈与は別の機会に説明したいと思います。

では話を戻して信託商品の説明を続けます。

信託商品の比較

ここで説明するのは、三菱UFJ信託銀行、三井住友信託銀行、みずほ信託銀行の3行における、認知症や介護費用が必要になった場合に活用できそうな自分年金や家族年金・一時金等で受給できる信託商品とそれらの比較です。

生命保険信託、遺言信託、暦年贈与信託、教育資金贈与信託等は含まれておりません。

信託商品の取扱額と報酬等

次の表は、3行の主な商品名(信託商品名)と取扱額、設定時報酬、毎月かかる管理費用、そした信託期間を比較した表です。

信託銀行の主な信託商品の比較(委託者・家族用の年金・一時金タイプ)
【信託銀行の主な信託商品の比較(委託者・家族用の年金・一時金タイプ)】

各商品の概要

三菱UFJ信託:相続型信託 ずっと安心信託

信託財産を定時定額で引き落とす自分年金にしたり、相続発生に残りの信託財産を家族への一時金としたり、年金払いとして受け取る事ができる商品です。

この商品の活用例を下記記事に掲載しておりますので、よろしければご覧ください。

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三菱UFJ信託:解約制限付信託 みらいのまもり

認知症対策の商品です。信託財産の使い道が限定されており、「老人ホームの入居金」か「10万円以上の医療費」の2点の場合だけです。また、このお金は本人・代理人支払われるのでは無く、 信託銀行から老人ホームや医療機関に直接振り込まれます。

三菱UFJ信託:代理出金機能付信託 つかえて安心

これも認知症対策用の商品です。認知症になっても自分のお金は自分で使いたいという目的でできた商品で、なかなかニーズに合った面白い商品です。

主な特長は、本人が自由に引き出せます。これには見守り機能が付いており、何に使ったのかが設定したメンバーにスマホでわかるようになっています。また、代理人が指定でき、認知症になって口座凍結された場合でも代理人が引き出すことができます。

ただし、口座管理料が必要です。

先の「みらいのまもり」と「つかえて安心」は下記の記事にも掲載しておりますので、ご覧ください。

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三井住友信託:家族おもいやり信託 (一時金型、年金型)

相続発生時に、事前に指定された家族の方に、信託財産を支払う商品です。一括で支払う一時金型と定期・定額で支払う年金型があります。

三井住友信託:じぶん年金信託

金銭信託に預けた資金を、年金のように毎月または隔月で定額受け取りできる商品です。

三菱UFJ信託銀行の「ずっと安心信託」の一形態でもありましたが、例えば、退職金を受け取った後に、この商品に預けて、毎月引落し、それを積立投資信託を購入するなどの活用方法が考えられます。

三井住友信託:後見制度支援信託

認知症対策の一つである成年後見人制度を活用する際に利用する信託商品です。

被後見人の財産を保護し、生活に活用させるための信託商品です。信託財産は、家庭裁判所の指示書に基づき設定された特約によって、定期・定額が被後見人に交付されます。

三井住友信託:任意後見制度支援信託

任意後見制度をサポートするための信託です。

任意後見契約が発効した後は、信託財産からの払い戻しには任意後見監督人の同意が必要となりますので、安全・確実に財産の保護を図ることができます。

また、生活に必要な資金等を定期的に受け取る事ができ、任意後見人が担う財産管理の負担を軽減することができます。

三井住友信託:セキュリティ型信託

信託財産を引き出す場合には同意者の同意が必要です。また、日々の生活に必要な資金などを定期的に受け取り可能です。定期的な受け取りについては、同意者の同意は必要ありません。

三井住友信託:人生100年応援信託「100年パスポート」

信託資金をまもる・つかう・つなぐ機能と信託期間中の多様なサービスを優待価格で利用できるサービス、コンサルティング等を組合せた商品です。

まもる・つかう・つなぐ機能としては、支払の際に同意者の同意が必要な「防犯あんしん機能」、定期・定額で受取れる「ねんきん受取機能」、認知症等に備えて指定した代理人に手続きをしてもらう「まかせる支払機能」、相続発生後にスムーズに遺産が渡る「おもいやり承継機能」があります。

信託期間中の優待を受けられるサービスとしては、スポーツクラブ、健康診断、カルチャースクール、旅行、グルメ、家事代行等々があります。

コンサルティング等としては、対面のコンサルティングに加え、情報誌、Webページ、メルマガ・LINE等での情報提供があります。

みずほ信託:安心の贈りもの(一時金型、年金型)

委託者が死亡した際に、生前に指定した受取人に信託財産を渡す信託商品です。

通常、相続が発生すると、遺言書や遺産分割協議による相続手続きが完了しなければ、預金を引き出すことはできませんが、この商品は、相続発生時に所定の確認書類を提出していただく簡単な手続きで、すみやかに受取人さまに金銭が下りてきます。受取には、一時金型と年金型があります。

みずほ信託:認知症サポート信託

認知症と判断された場合に、事前に指名した代理人により引き出しが可能な昇進です。

本人の介護費や医療費等資金使途が限定された10万円以上の支払に使う事ができます。また、認知症本人の公共料金の支払や日用品の購入資金等使う事ができます。このような経常費用、少額な費用の支払いは使途自由です。

みずほ信託:財産承継信託(後見制度支援信託タイプ)

成年後見人制度による支援を受けている方の財産管理のための信託商品です。

家庭裁判所の指示書に基づき、信託の設定方法や期間、お支払い方法等を指定することができ、三井住友信託の「後見制度支援信託」と同様の商品です。

みずほ信託:選べる安心信託

つかう・まもる・のこすの信託機能、信託期間中の優待・特典があるずっと安心特典と生活サポートサービスの紹介が付いた信託商品です。

つかう・まもる・のこすの信託機能としては、自分への定期・定額受取の「ご自分用受取機能」、手続き代理人を指定し本人でも簡単に解約できないようにした「解約制限機能」、「暦年贈与」や本人が亡くなった時に家族に信託財産が渡る「ご家族用受取機能」 などがあり、自分で各種機能を選ぶことができます。

ずっと安心特典としては、サービスデスクから定期的電話確認がある「安心電話サービス」、日常生活のケガなどに対応する「個人賠償責任保険」、不動産売買をサポートする「不動産仲介手数料の優待」、年1回サービス(ダスキンによる身の回りのお手伝い、又は日本郵便による訪問確認)を選べる「選べる優待」等があります。

生活サポートサービスとしては、介護・老人ホーム、みまもり・警護、住まいの改修、家事代行等の提携企業を優待条件で紹介してくれます。

なお、次のサービスは、「選べる安心信託」を利用した場合に景品として提供されます。

  • 個人賠償責任保険(提供会社:損害保険ジャパン日本興亜(株))
  • 不動産仲介手数料の優待(提供会社:みずほ不動産販売(株))
  • 選べるご優待(提供会社:(株)ダスキンもしくは日本郵便(株))
  • 生活サポートサービス(生活サポートサービスデスクを運営する(株)JTBコミュニケーションデザインが、各サービス提供会社をご紹介するサービス)

何を選ぶかは手元資金と状況をみて

信託商品は、各行、同じような商品もありますが、独特のものもあり(当たり前ですが)細部まで理解するのは骨ですね。

三井住友信託銀行の「100年パスポート」やみずほ信託銀行の「選べる安心信託」は便利なのですが、それだけ高いですね。

手元資金にもよりますが、例えば、まとまったお金や退職金が入り安全に残しておきたいとか介護資金の一部とかを考えるのであれば、三菱UFJ信託銀行の「ずっと安心」、三井住友信託銀行の「じぶん年金信託」と「家族おもいやり信託」、みずほ信託の「安心の贈りもの」でしょうか。

また、認知症が心配になってきたら、 三菱UFJ信託銀行の「つかえて安心」か「みらいのまもり」(心情的には「つかえて安心」ですが)、三井住友信託銀行の「セキュリティ型信託」、みずほ信託の「認知症サポート信託」などが選択肢です。

さいごに

人生も後半になると(晩年かぁ~)、考えたくない事まで真剣に考えなければなりません。信託銀行に全てお任せというコースもありますが、それでは懐具合が許してくれそうもありません。

これに限らず、いろいろな事を考えるのは、ある意味ボケ防止にもなりそうですので、楽しみながら検討していきたいと思います。

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