万一の時に金融資産を引き継ぐために、簡単に始める方法

終活情報を家族で共有していない場合は、万一の場合は大変です。特に銀行・証券口座等の金融関係の情報を把握していないと、生活も困る事になります。ここでは、金融系情報を奥さんと共有する方法についてまとめてみます。

終活で考える事

WHOでは、65歳以上の人を高齢者とし、高齢者が全人口の21%を超えると超高齢社会と定義しています。日本では、この割合が既に25%を超えていますので、世界でも有数な超高齢者社会になっています。

高齢者になると認知症や体の不調が増えてきますので、万一の場合に備えて「エンディングノート」を作成しておくのが良いと言われています。しかし、興味があってもなかなか作成している人は少ないのが現実です。

次のグラフは、「NPO法人ら・し・さ(終活アドバイザー協会)」が作成した「終活意識全国調査」の中に「エンディングノートを持っているか」に対しての結果です。これを見ると60歳以上でも約8割の人がエンディングノートを持っておらず、作成するには少々ハードルが高い結果となっています。

エンディングノートを持っているかに対する回答※NPO法人ら・し・さの「終活意識全国調査」から抜粋。
【エンディングノートを持っているかに対する回答】
※NPO法人ら・し・さの「終活意識全国調査」から抜粋。

エンディングノートに書いておいた方が良い内容は次のとおりです。

  • 自分の情報を書いておく:生年月日、本籍地、親戚・友人等の名簿、医療・介護・投薬情報等。
  • 保有財産の情報を書いておく:貯蓄・借金、保険、年金、不動産、その他財産等。
  • 終末期や死後の事を書いておく:告知・延命治療可否、認知症時の対応、葬式・墓、相続、処分品の希望等

これらの情報を全てカバーするのは、敷居が高くなりますので、本稿では、保有財産の中でも残された家族の生活に直結する金融資産の把握について説明したいと思います。

金融資産を共有する

自分の財産等をまとめる主な方法は次のとおりです。これらについて、概説します。

  • エクセルでまとめる:暗証番号付与したエクセルとUSBメモリを利用する方法です。
  • 汎用系のクラウド系アプリを利用する:Googleドライブ、スプレッドシート等を使う方法です。
  • 専用のクラウド系アプリを利用する:楽クラライフノート等専用アプリを使う方法です。
  • 専門家に委託する:司法書士・弁護士や信託銀行等の専門家に委託する方法です。

エクセルでまとめる

一番簡単な方法は、表計算ソフトで自分が保有する金融資産等をまとめる方法です。例えばエクセル(Microsoft Excel)で金融情報等を次のようにまとめて家族(配偶者がほとんど)と共有する方法です。

  • エクセルに記載する内容
    • 金融機関名称、口座番号、関連口座、連絡先番号・メールアドレス、その他関連情報を記載します。
    • 暗証番号等セキュリティ情報は別のファイルにしておく方法もあります。
  • 管理方法
    • 暗証番号付エクセルにし、PCでは無くUSBメモリに別保存します。USBメモリも暗号化・暗証番号付与機能のあるものであればより良いと思います。
    • USBメモリと暗証番号は奥さんと共有します。金庫があればそこに保管したり2つ用意して各々USBメモリを持つようにする方法があります。暗号ソスト等いろいろな組合せが可能ですが、複雑すぎると万一の時に訳がわからなくなりますので、要注意です。

汎用系のクラウド系アプリを利用する

Googleのドライブやスプレッドシート等を使う方法です

  • Googleのドライブを利用する
    • 前述の「エクセルでまとめる」でエクセルシートを作成し、これをGoogleのドライブに保管します。
    • 保管したフォルダ・ファイルは、奥さんのGmailアカウントと共有する事で同じファイルをアクセスする事ができます。
    • 「暗証番号等セキュリティ情報」について、汎用的なクラウドに保管は気持ち悪いのでUSBメモリで別保管します。
  • Googleのスプレッドシートを利用する
    • エクセルでまとめる代わりにスプレッドシートで保有する金融情報をまとめる方法です。
    • スプレッドシートも暗証番号付にしたり、奥さんのGmailアカウントと共有する事ができます。
    • 「暗証番号等セキュリティ情報」も、念のため、USBメモリで別管理します。

専用のクラウド系アプリを利用する

最近ではクラウド系の専用アプリがあります。下記はその一つで「楽クラライフノート」というアプリです。主な特徴は次のとおりです。

  • エンディングノートが作成できます。
  • 資産管理ができます。
  • 終活関連知識を得たり、プロを紹介してくれます。
  • 情報は家族と共有できます。
  • 有料で月額300円(税込)です。現在、6カ月無料キャンペーン中です。

資産管理機能では「Money Forward ME」機能を使い、先のエクセルと同様な内容を入力し、家族と共有する事ができます。

「Money Forward ME」 では、金融機関の口座と紐付けて入出金・資産情報を得る事ができますが、各金融機関のセキュリティ強化が随時実施されていますので、変更の都度、再設定が必要になります。便利なアプリですが、まずは、無料版で使い勝手を確認してみてください。

なお、 「楽クラライフノート」 の詳細については、次の画をクリックするとサイトへ移動しますので、ご覧ください。

楽クラライフノート
【楽クラライフノート】
※画をクリックするとサイトへ移動します。

専門家に委託する

こうなると保有する金融資産だけにとどまらず、不動産、介護、後見人・家族信託(民事信託)、相続人等関連する手続きを含めて幅広くなり、費用も100万円単位になってきます。

基本的には士業(司法書士、弁護士等)に頼むか、信託銀行になります。一部の証券会社や銀行でも信託銀行の窓口として扱っており、集客を図るために相続対策を絡めたビジネス化をしています。

主なものとしては次のとおりです。

  • 士業(司法書士、弁護士等)に依頼する。
  • 銀行・証券会社に依頼する。
  • 信託銀行に依頼する。

費用が結構必要なので、本稿ではこの程度にします。ご興味があれば次の記事をご覧ください。

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さいごに

アクシデントはいつ何時あるか分かりません。万一の時に、金融資産をある程度活用できなければ家族の生活が厳しくなります。まずは、我が家の資産がどの程度あるのかを把握するために、少なくとも年1回は資産の棚卸をしてみるのが良いと思います。

まずは、やる気があれば簡単に作成できるエクセル版でまとめるのが良いと思います。これらをまとめると我が家の財産を概観できるだけでは無く、どのように継承するかを考えるようになります。

エンディングノート作成はそれなりにハードルが高くとも、最も関心の高いお金のところから整理していくと、これをきっかけに相続問題等いろいろ考えるようになると思います。

まずは、我が家の保有資産のまとめから始めてみてはいかがでしょうか。

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