金融緩和後のテーパリングや中国発の信用不安等により世界市場の落ち着きがありません。このような時に心強いのは金(ゴールド)です。金の投資方法としては、現物売買、宝飾品投資、投資信託、ETF、金関連企業への株式投資等があります。ここでは、現物の金にも換金可能な純金積立について、楽天証券、SBI証券、田中貴金属で比較してみました。
純金積立の概要
純金積立とは、毎月一定額又は一定量を購入して行う投資商品です。毎月購入する事で高値掴みを避け、ドルコスト平均法により購入単価を引き下げ、利益の出やすい特長があります。
なお、毎月と言っても多くのサービス提供会社では、毎月の積立額・積立量を日数で分け毎日決まった時間に買い付けていきます。また、ボーナス月等でのスポット買や一部/全部売却が可能になっています。さらに、積み立てた金(ゴールド)を現物に引き出すことができます。
比較
次の表は、ネット証券の代表として楽天証券とSBI証券、そして老舗の田中貴金属の純金積立の比較表です。以下、各項目について説明します。
キャンペーン・付加サービス(2021.10.10現在)
楽天証券では、現在「純金プラチナ積立デビュー」のキャンペーン中です。純金積立口座を開設し、初めての取引で楽天ポイントが200ポイント付与されます。さらに1万円以上積立を開始すると300ポイントもらえますので、合計500ポイント付与されます。キャンペーン期間は2021.9.27~2021.10.24ですが、このキャンペーンは毎月更新されています。
SBI証券では、マイレージサービスとして月間合計金額(税抜)の1%がTポイントで付加されます。これにはスポット購入も対象です。また、Tカード番号を登録すると既に保有しているTカードにまとめてポイントが追加されます。
田中貴金属では、純金積立を申し込むと「QUOカードPay1,000円分」が全員にプレゼントされます。さらに月々の「金」「プラチナ」「銀」の積立金額の合計が30,000円以上の方の中から抽選で100名に「金」地金5gのプレゼントがあります。キャンペーン期間は、2021.9.16~2021.11.15です。
各社とも、よくキャンペーンを実施していますので、純金積立を考えている場合は日頃から注意しておきましょう。
積立最低額
毎月の最低積立額は、楽天証券とSBI証券は1,000円から、また田中貴金属は3,000円からです。
年会費・保管料・売却手数料
3社共に無料です。
購入価格(小売価格)
金の価格には、ユーザが購入する際の購入価格とユーザが売却する際の売却価格の2種類があります。購入価格は積立時の価格でもあります。
表には3社の購入価格を記載していますが、時期により変動しますので、何時の価格かを確認することも大切です。この表では、楽天証券が一番低いですが、実際に購入する際には再度確認した方が良いと思います。
売却価格(買取価格)
ユーザが積立等で貯めた金(ゴールド)を売却する際の価格です。こちらも売却時期の相場で変動します。
売買スプレッド
金の価格はユーザの購入価格(小売価格)と売却価格(買取価格)に価格差(売買スプレッド)があります。売買スプレッドはそう変わるものではありませんが、会社によっては変更する事こともありますので、これも実地の際に再確認した方が良いと思います。
現状では、楽天証券が一番低い値になっています。
買付手数料
楽天証券とSBI証券では月々の積立額の1.65%が必要になります。一方、田中貴金属の購入手数料は次のとおりです。
- 積立金額3,000円~29,000円:2.75%(税込)
- 積立金額30,000円~49,000円:2.20%(税込)
- 積立金額50,000円以上:1.65%(税込)
引出手数料(現物受取手数料)
一定量積み立てた金(ゴールド)は手元に引き出す事が可能です。ネット証券では、配送費と消費税が必要です。また、例えば1kgの金(ゴールド)は、一番安い楽天証券でも約630万円(=6,303円/g ×1kg)を積立てたという事ですので、長い積立期間が必要です。
一方、田中貴金属は2,200円/回と安いです。他の手数料等が比較的高いのでその分を込みと考えるべきなのでしょう。なお、引き出す際に自分で金(ゴールド)のバーを指定すると+αの費用が必要になります。例えば、50gのバー指定で8,800円/個、300gのバー指定で16,500円/個です。また、田中貴金属の場合は、5gからでも引き出す事ができますが、小まめに引き出すと手数料がかさむ事になります。
結果として
比較した表では、ネット証券の方が手軽で、その中でも楽天証券が若干優れていると思います。まとめると次のとおりです。
- 楽天証券は、積立時の購入価格・手数料等が最も低く、金(ゴールド)が貯まりやすい。また、金の現物に交換する場合の手数料等(引出手数料等)が分かり易いので良いと思います。
- SBI証券は、マイレージサービスにより、Tポイントが貯まりやすいです。例えば1万円/月購入で100ポイント、1年で1,200ポイント貯まります。なお、楽天証券もポイント付与がありますが、これは超割コース(1日定額コースでは無く売買金額に応じて手数料がかかります)を選択した場合の税抜手数料に対して1%なので面白くありません。
- 小まめに現物の金が欲しい人は、田中貴金属であれば5gから、楽天証券では100gから可能です。ただし、あまり小さな単位で実施するのは手数料が割高になりますので、お勧めできません。
金の投資信託とETF
手軽な金への投資としては、投資信託と金ETF(上場投資信託)があります。
今まで説明した純金積立は、購入手数料が最低でも1.65%と高めです。現物を引き出さなければ売却手数料は無料ですので長く保有するほど相対的に手数料の費用は安くなっていきます。
これに対して金の投資信託はノーロードタイプ(売買手数料無料)、金ETFは買付手数料無料銘柄などがあり、また管理費用(信託報酬等)も一桁下がります。管理費用は保有期間に渡って課せられますので、長い期間のどこかで純金積立と逆転するかもしれませんが、扱いが容易です。
金の現物に拘らなければ、 金の投資信託や金ETFの方が手軽ですので、私などはこちらの方で運用しています。金の投資信託や金ETFにご興味があれば、次をご覧ください。
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さいごに
あらためて純金積立を調べてみました。意外と良いなというのが正直な感想です。田中貴金属は一見手数料等が高い印象ですが、それでも宝飾品やコインに等価交換できますので、これも魅力です。
それ以外の現物に交換する場合は、500gで約320万円、1kgで約640万円分を積み立てなければなりません。結構期間が必要ですね。現物が欲しい場合は、金のコインを毎年購入でも良いのかもしれません。
現実世界で金を眺めるのも楽しそうです。
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