JTやオリックスで株主優待制度の廃止予告等これに関連するニュースを目にするようになりました。従来の株主平等の原則や東証区分再編後の上場基準が変更による株式流動性重視等が根底にあると考えられます。本稿では、その1の保有実績のある株式優待株の確認に続き、その2として同様に保有し続けるかを独善的に考えてみたいと思います。
保有実績にある株式の再確認
前稿の「株式優待制度は曲がり角?その1,保有株式の再確認」では、私が保有実績のある株式について、株主優待制度の内容について簡単に確認してみました(本稿では説明を割愛させていただきます)。詳細は次の記事をご覧ください。
JTやオリックスで株主優待制度を廃止する旨の予告ニュースを目にするようになりました。従来の株主平等の原則や東証区分再編後の上場基準が変更による株式流動性重視等が根底にあると考えられます。今後も同制度を廃止する企業が続きそうなので、株主優待[…]
株主優待制度の種類と全株主メリット
株主優待制度の見直しが続いている原因は、従来からの株主平等の原則から外れる事(大口の機関投資家には株主優待制度が非適用)と上場基準の見直しによる株主数緩和と株式流動性の増大です。
このため株主優待制度については、機関投資家等を含めた全体の株主にとってメリットがあるのかが重要になってくると思います。この観点でみると次の区分になりそうです。
- 自社商品・サービスに係るものか:企業業績向上の可能性があり比較的株主メリットがある。
- 他社商品・サービスに係るものか:企業業績向上の可能性が無く株主メリットが無い。
- 継続保有条件があるか:株価安定化の可能性もあるが、株主メリットはそれほど無い。
また、この他に配当との関係があると思います。配当が良い場合は、機関投資家は株主優待制度を実施している事が企業業績向上に資してしていると納得するかもしれません。そうでない場合は危うい気がきます。
株主メリットを踏まえた今後の予想
全株主のメリット等を踏まえて、株主優待制度ありで保有実績のある株式について、今後、株主優待制度が続きそうなのかを独断的に判定してみました(素人投資家ですのでこのような意見もあると参考程度にご覧ください)。
下の表は、次の項目で株主優待制度がどのようななりそうかを判定したものです。
- 銘柄:個人的に保有実績のある株式銘柄
- 株価と配当利回り:2022年5月31日終値の株価と配当利回り(今期配当未発表のものは前期配当を基に計算しています)
- 自社商品・サービス:株主優待制度が自社商品・サービスに係るものか
- 継続保有条件無し:株主優待制度の恩恵を受けるために継続保有条件が無いか
今後、株主優待制度の存続が難しくなってくると思われますが、それでも判定で〇(比較的長く続きそう)、△(一部のの優待は無くなりそう)、×(比較的早くに無くなりそう)と考えました。それでも単純に〇、△、×ではよくわかりませんので、以下、簡単に補足します。
日本郵船
飛鳥クルーズ10%割引優待です。拡販効果があり高配当ですので〇です。
日本製紙
スコッティ等の自社製品サービスですので、拡販効果があり配当も良いので〇です。
すかいらーくHD
自社レストラン等で利用できる金券がいただけます。金券の額は100株以上で4,000円(半期2,000円)と良いので人気の高い株式ですが、配当利回りが0.39%と低く、判定は残念ながら×です。もしも、株主優待分を利回り計算すると約2.3%となりますので、配当利回りと比較されると厳しそうです。
サンマルクHD
自社レストラン等でサンマルク株主優待カードを提示すると20%(一部は10%)割引されます。拡販効果があり配当も普通なので〇です。
プレナス
自社店舗(やよい軒やホットモット等)で利用できる優待券500円がいただけます。現状、1年以上継続保有の条件がありますが、見直される可能性があるのではないかと考え、判定は△です。
イオン
自社関連店舗で株主優待カード(イオンオーナーズカード)を提示すると買物代金の3%(100株以上)が半期毎にキャッシュバックされます。また、長期保有優待特典(1,000株以上3年以上継続保有で2,000円/年のイオンギフトカード)があります。
拡販効果があり配当も普通なのでこれからも続きそうですが、長期保有優待特典は無くなる可能性があり、判定は△です(利用者目線のイオンなので限りなく〇に近いかもしれません)。
ヤマダHD
自社関連店舗で利用できる株主優待券500円がいただけます。拡販効果があり配当も良いので〇です。ただし、業績が気になる所です。
楽天G
楽天グループで利用できる楽天キャッシュや楽天トラベル国内宿泊クーポン等がいただけます。自社関連サービスなので、拡販効果があり〇です。ただし、5年以上で優待額アップは継続するか疑問です。
SBI HD
暗号資産(SBI VCTradeの口座開設要)または自社関連商品がいただけます。拡販効果があり配当も良いので〇です。ただし、一部の継続要件は無くなる可能性があります。
KDDI
「auPAY マーケット商品カタログギフト」から3,000円相当(100株以上5年未満)の商品がいただけます。配当も良いので個人的にはお気に入りの株式銘柄です。
auPAY マーケット自体は他の広告媒体で周知されつつありますので、株主対応で実施する意味が薄れているのではないかと思います。5年以上保有で優待品グレードアップと合わせて見直される可能性があり、判定は×です。
NTT
NTTの優待は、dポイントを「2年以上3年未満1,500ポイント、5年以上6年未満3,000ポイント」と毎年必ずいただけるものでは無く、どちらかと言えば配当で株主還元をしています。
このため、株主優待制度は見直される可能性が大きいと思いますので、判定は×です。
KDR(ケネディクス・レジデンシャル・ネクスト投資法人)
KDRは主に住居系とヘルスケア系のREIT(不動産投資信託)です。投資主優待では、老人ホームや介護等のヘルスケア系施設の無料体験入居や賃料割引等があります。
自社施設の入居等拡販効果がありますので、〇です。
さいごに
個人的に保有実績のある株主優待銘柄について、今の株主優待制度が残りそうかを考えてみました。株主優待制度は、欧米には無い制度ですので、継続していくのは難しくなるのではないかと考えています。それでも、CMと同じで、消費者に応援団を増やし拡販効果が出るのであれば、まだ暫くは続くものと思います。
素人の勝手な予想ですので、盲信されることなく、ご参考程度に見ていただければ幸いです。
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