会社勤めの時は、社会保険や税金が給与等から差し引かれていましたが、会社勤めが終わった後はどうなるのでしょうか。思ったとおり健康保険料の負担が大きいのがわかりました。これらについてまとめてみました。
年金生活でも納める社会保険と税金
定年後の65歳以降は公的年金保険料は無くなりますが、健康保険、介護保険は残りますし、年金受給でもその所得に応じて所得税や住民税を納める必要があります。
健康保険、介護保険、所得税、住民税について、以下説明します。
健康保険
会社員の場合は、各社健保組合から健康保険証をもらっていますが、退職日の翌日から使えなくなります。このため、事前に切り替え手続きをしなければなりません。
退職後の健康保険の選択肢としては、一般的に①親族の扶養者になる、②国民健康保険に加入する、③任意継続被保険者制度を活用する、があり、さらに一部の会社では④特例退職者被保険制度があります。
各々の概要と保険料の考え方を説明します。
- 親族の扶養者:例えば子供が働いている場合は、子供の扶養者になり事です。一般的に健康保険料は被保険者(この場合子供)の標準報酬月額で決まりますので、扶養者が増えても保険料は変わりません。
- 国民健康保険:地方自治体(市区町村)によって異なり、前年度の世帯収入等を基に算出されます。
- 任意継続被保険者制度:退職後2年間まで同じ会社の健康保険者制度に加入する事ができます。保険料は、会社勤めの時は会社が半分負担してくれましたが、退職後は全額自己負担です。また、退職時の標準報酬月額等を基に計算されますので、だいたい2倍になります。
- 特例退職者被保険者制度:一部の会社が活用している制度で(平成26年の資料で61社)、後期高齢者医療制度に加入する75歳前まで加入する事ができます。③と同じく、保険料は退職後全額自己負担ですので、退職後、約2倍が目安になります。
この記事と直接関係はありませんが、私の勤めている会社は「特例退職者被保険制度」がありますので、これを活用したいと考えています。
あらためてこの関係書類を見ると、健保への健康保険料自動引き落としや各種給付金振込が「ゆうちょ銀行」指定になっていました。
年金の自動振込もどこの銀行にしようかと考えている所ですが、健康保険料払い込みでも利用できる「ゆうちょ銀行」に集中させても良いかなと思いました。
なお、「特例退職者被保険者制度」については、次の記事でもまとめていますので、ご興味があれば、ご覧ください。
会社員の場合は、各社健保組合から健康保険証を貰っていると思いますが、退職日の翌日から使えなくなるため、切り替えなければなりません。選択肢はいくつかありますが、特例退職被保険者制度について説明します。退職後の健康保険の選択肢[…]
介護保険
介護保険は、40歳以上の人が全員被保険者になります。
このため、会社の健保と縁がなくなった方は、年金からの天引きか住んでいる市区町村からの直接徴収になります。年金からの天引きは、年金受給18万円/年以上の方ですので、ほとんどが年金からの天引きになります。
65歳未満の方は、会社の健保が介護保険料徴収する事が義務付けられていますが、65歳以上になると、年金からの天引きか住んでいる市区町村からの直接徴収になります。
また、「任意継続被保険者制度」や「特例退職者被保険制度」の加入者は、ご自身または被扶養者(奥さん)が65歳未満の場合は、会社の健保が介護保険料を徴収します。
ご自身と被扶養者(奥さん)が共に65歳以上になると年金から天引きされます。
介護保険料は、毎年保険料率が変わりますが、現状納めている保険料が目安になります。
所得税
所得税は、収入から経費・各種控除額を差し引き、それに一定の税率を掛けて求めます。
会社勤めの時は、給与から源泉徴収され、医療費控除を行う場合は確定申告のパターンだったと思います。年金生活の場合は、年金支給時の源泉徴収と確定申告を行う必要があります。
年金受給者の代表的な控除
年金受給があると所得分類では雑所得として扱われますが、公的年金等控除があります。また日本国民であればだれでも使える基礎控除があります。この2つが年金生活での代表的な控除になり、年齢による最低の控除額は次のとおりです。
- 65歳未満:108万円=基礎控除48万円+公的年金等控除60万円
- 65歳以上:158万円=基礎控除48万円+公的年金等控除110万円
その他の控除の可能な方や年金以外の収入がある方は、上記に加えて「配偶者控除」、「医療費控除」、「ふるさと納税の寄附金控除」、「配当控除」などがあります。
年金の源泉徴収
一般に年金は支給時に税金が天引きされます(特別徴収といいます)。扶養親族等申告書を提出しているかどうかで源泉徴収の税率(所得税と復興特別所得税)が異なりますが、確定申告を行うと(通常、払い過ぎの税金が還付されて)同じ税金になります。
【扶養親族等申告書を提出している場合】
源泉徴収税額
=(年金支給額-社会保険料-各種控除額)×5.105%
【扶養親族等申告書を提出していない場合】
源泉徴収税額=年金支給額×7.6575%
※源泉徴収税額
=(年金支給額-年金支給額×25%)
×{所得税率(10%)+復興特別所得税10%×0.021)}
源泉徴収については、次の記事でもまとめていますので、ご興味があれば、ご覧ください。
公的年金等は、令和2年より控除額が10万円減額されます。また、公的年金等の支払を受ける時に、一定の割合で源泉徴収されます。源泉徴収される場合は、強制的に引かれているので、どのような計算で源泉徴収額が決まっているのかわからない方が多いと思い[…]
必ず確定申告を
上記のように年金は源泉徴収されています。さらに、上記に加えて「配偶者控除」、「医療費控除」、「ふるさと納税の寄附金控除」、「配当控除」などいろいろと控除が可能な方がおられると思いますので、必ず確定申告をして必要以上に税金を納めないようにしましょう。
少し手間ですが、慣れると簡単です。
住民税
住民税とは、都道府県民税と市町村民税があり、各々所得に応じた所得割と世帯に同一の均等割があります。
住民税は、所得税と比べて1年遅れで課税されます。退職後の収入が減った1年目に昨年の会社勤めの所得を基に住民税が課せられますので、準備をしておく必要があります。
住民税の所得割は、一般的に所得税の確定申告を基に税金が決まります。所得税の確定申告では、可能なものはしっかりと控除をしないと、余分な税金を払う事になります。
例えば、年金生活等で一定の収入が少ない方が株式投資をされている場合は、配当課税を「所得税は総合課税」、「住民税は配当受取時の源泉課税」にした方が税金が抑えられます。この場合は、住民税も確定申告が必要になります。
配当課税についての説明や確定申告の方法については、下記記事をご覧ください。
株式配当の課税は、一般的に総合課税の配当控除を使うより、分離課税で配当を受け取るときに20.315%(所得税及び復興特別所得税15.315%、住民税5%)で済ませていると思います。しかし、所得税を総合課税として配当控除を使い、住民税は源泉[…]
株式配当の税金は、 所得税を総合課税(配当控除あり)にし、住民税を申告不要にして源泉徴収(住民税5%)のままで行うと一般的に軽減されます。昨年に引き続き、2020年も申告してきましたので、申出書の書き方等具体例を紹介します。源泉徴[…]
さいごに
定年後の主に年金生活における社会保険料と税金について見てきました。収入から社会保険料と税金を差し引いた金額が可処分所得となり、本当に使えるお金です。
特に、健康保険料が意外に負担になる事がわかりました。現役の時の約2倍です。給与明細の健康保険料の箇所を見ると簡単に今後の必要な金額がわかります。
少ない年金の中で少しでも余裕ある生活を送るためにも、手間を惜しまず、是非、確定申告をして、適切な納税に心掛けましょう。
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