2024年1月からNISA枠が従来の120万円/年から360万円/年に拡大されます。この金額を単年で全て消化できる人は少ないと思いますが、従来のNISAからの買い替えや投資信託・株式投資のすみ分け等考える事があります。新NISAの投資方針について自分の考え方を整理したいと思います。
新NISAの概要
従来のNISAでは、つみたてNISAと一般NISAがありました。
つみたてNISAは、あらかじめ決められた一定の投資信託を年間40万円まで購入でき、最大20年間非課税で保有できます(つみたてNISA枠は最大800万円)。一方、一般NISAは株式・投資信託等を年間120万円まで購入でき、最大5年間非課税で保有できます(一般NISA枠は最大600万円)。さらに、つみたてNISAと一般NISAは混在して保有する事ができません。
2024年から始まる新NISAでは、つみたてNISA(つみたて投資枠と称する)と一般NISA(成長投資枠と称する)の併用が可能になり。年間360万円、生涯合計1,800万円の非課税枠を保有期間の制限が無く利用できるようになります。
新NISAの特徴をまとめると次のとおりです。
- 非課税保有期間が無期限:口座開設可能期間及び非課税保有期間の期限がなくなり、恒久的な措置になります。
- つみたてNISAと一般NISAの併用が可能かつ投資枠拡大:つみたてNISAを引き継ぐ「つみたて投資枠」と一般NISAを引き継ぐ「成長投資枠」との併用が可能となります。各々の可能な投資枠は次のとおりです。
- 「つみたて投資枠」は一定の投資信託を対象とする長期・積立・分散投資で上限120万円/年に拡充されます。
- 「成長投資枠」は上場株式への投資が可能で上限240万円/年に拡充されます。
- 非課税保有限度額(総枠):一生涯にわたる非課税限度額の総枠は1,800万円です。ただし、この内数として「成長投資枠」は1,200万円が限度となります。また、NISA枠で購入した商品を売却した場合、その売却分をNISA枠として再利用することが可能になりました。
この事から投資資金に余裕があれば、年間360万円分全て投資信託を購入しても良いですし、年間120万円分で(一定の)投資信託を積立購入して更に年間240万円で株式購入・運用しても良いわけです。
なお、2023年末までの現行つみたてNISAおよび一般NISAに投資したものは新制度の外枠で今の非課税措置が適用されます。
新NISAの投資方針
NISAは非課税ですので、株式・投資信託売買で生じた利益や配当金・分配金には税金がかかりません。その代わり、損失が発生しても他の利益と損益通算ができませんし、損失繰越も不可です。
また、年間の新NISA投資可能枠は360万円、生涯通算枠では1,800万円と結構な金額になります。
これらを考えて従来NISAと新NISAでの方針を考えてみたいと思います。
従来NISAはどうするか
つみたてNISAでは投資期間が最大20年間可能ですが、一般NISAでは最大5年間しかありません。ここでは既に利益が期待できるかで変わります。
- 利益が期待できるのであれば売却:株価にはリスクが付きものです。これから暴落があるかもしれません。利益が出ているうちに売却して非課税のメリットを享受します。売却した資金は、新NISAに備えるのが良いと思います。
- 損失が出そうな場合は暫く様子見:既に評価損が出ておりNISA期間が結構残っている場合は値上がりに期待します。残りの期間としては、つみたてNISAであれば問題無く、一般NISAであれば2~3年以上でしょうか。
新NISAでは
新NISAでは、非課税保有期間の制限がなくなり、しかも生涯通算枠では1,800万円(つみたて投資枠の上限600万円)を超えなければ売買可能になりますので、この効果は大きいと思います。
私の場合は、次の方針で臨みたいと思います。
- つみたて投資枠:ノーロード・インデックス型投資信託を積立て、この枠を使い切ることを第一優先に考えます。年間120万円の枠なので、使い切るのは大変かもしれません。資金が無ければ成長投資枠は諦めます。積み立て投資信託を長い期間続けるとそれなりのリターンが期待できることは過去のデータで示されています。
- 成長投資枠:上記のつみたて投資枠を活用し、さらに余裕のある場合に株式投資を行います。株式投資は投資信託以上にリスクが大きので、あくまでも経験者が実行する部分になります。慣れない方は、まずは大型・好配当(配当利回り3%以上)・株主優待制度有の株式を少額から始めてみるのも一考です。私の場合は、好配当株式を中・長期投資、それ以外では短期投資(長くとも1~3ヵ月)で行います。短期投資の場合は、5~10%程度利益が生じたら売却するつもりです(使った枠は再利用できるのが大きい)。
さいごに
非課税保有期間が無くなるのは、政府の施策として、久しぶりのヒットだと思います(ホームランかも)。NISAは、損失が発生しても損益通算できないので確実に利益をとっていく事が大切です。
ただ、株式投資は水ものなので、大きく値下がりした場合は塩漬けの可能性もでてきます。ここは考え方次第で悩ましいところですが、余裕資金で行う事がマストです。
比較的安心の積み立ての投資信託以外は、なんだかんだと言っても株式投資の場合は、NISAであろうと無かろうと基本だ大切だと思います。例えば、損切は早く・益出しは遅くとかですね。欲との闘いは難しですね。
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